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ずっと、気になったいた。
どんな人が乗っているのか・・・。
こんな高級車が、こんな小さなマンションの小さな駐車場にとまっていたら、誰だって気になる・・・。
叫んだ私を見て、この男が優しい笑顔を向ける。
その笑顔が、妙に腹の立つ笑顔でムシャクシャしてくる・・・。
私は大股でその男まで近付く。
そんな私を見ながら、ゆっくりと丁寧な動作で車のドアを閉め、ロックをかけて・・・
そんな、いちいちゆっくりと丁寧な動きも全てに腹が立つ。
「この車、アナタのだったの!?」
詰め寄ると、この男がムシャクシャする笑顔で私を見下ろしてくる。
「まさか。会社のですよ。」
その言葉に、私は少しずつ冷静になった・・・。
「そうなの。よかった。」
「・・・よかったですか?」
「そうね、安心したわ。」
そう答えた私に、少し悲しそうな笑顔を向けてくるから・・・
「あなたには、あんな高級車は似合わないでしょ?」
「そうですね、僕には似合いませんね・・・。」
2人で歩きながら話し・・・
「それじゃあね?」
「はい、お休みなさい。」
そう言って、また優しい顔で私に笑いかける。
その笑顔は、やっぱり妙に腹が立つ。
私をムシャクシャさせる。
「お休み!!!!」
部屋の鍵を開け、勢いよく中に入り、扉を閉めた・・・。
ムシャクシャする気持ちを抑えながら、玄関で少し深呼吸を繰り返す。
少ししてから、隣の扉が開く音が聞こえ、また閉まる音がした・・・。
あの高級車は、隣の部屋の男の物ではなかった。
その事実に、妙に安心をした。
だって、あんな優男には似合わないから。
全然似合っていなかったから。
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