第8話 2/1 猿が怖い
誰しも苦手な生き物ってあると思いますが、私の場合はそれが猿。優しいと言われるゴリラやボノボでも無理。関係ねぇ。怖い。ゲームでも苦手。モンハンのラージャンとか絶対無理。
これには明確な
小学生の時、私はそこそこの田舎に住んでました。小学校から家までは遠く、集団下校も無かったのでよく空想ゲームに浸りながら帰ってました。
空想ゲームというのは、歩きながら想像の世界へ羽ばたくことです。前方どころか全方位不注意になるからクッソ危ないんですけど、当時は画期的な発明だと思ってました。気づいたら家に着いてますからね、ワープみたいなもんです。
で、その日も空想ゲームしながら歩いてたわけです。農道って言うんでしょうか、山と田んぼの境界線になってる一車線の細い道。そこをボケーッと歩いてたら──。
目の前に、四ひきの猿がいました。
一匹は真っ白なやつ。他は普通に茶色っぽい。そんな猿達が、座ってトウモロコシを食べていたんです。カーブを曲がった所に居たので、本当に近くに行くまで気づかなかった。
猿は、私を見ながらも食べる手を止めません。
頭の中に、近所のおっちゃんの顔がフラッシュバックしました。おっちゃんは指が二本なくて、「猿に
指を、噛られる。
噛られる、噛られる、噛られる……。
もうガクブル。猿ってめちゃくちゃ綺麗にトウモロコシ食べるんですよ。丈夫な歯で、それはもう本当に綺麗に。
恐怖で固まっていると、やがて猿達は動き出しました。幸運なことに、私を無視して凄い速さで山へ帰っていきました。
私はビビり過ぎて腰が抜け、軽トラが通りがかるまで動けず……ジワッとまあ、水溜まりができました。
……そっからもう、猿は大の苦手。指は無事だったんですけど、服の下はビッチャビチャ。小学生ですからね、しゃーないやろがい。
白い猿はわかんないっす。たぶんアルビノ。フィクションなら「人の子よ…」とか何とか喋るんでしょうけど、ふつーに山に帰ってった。
でも……ラージャンとか見た時に思い出すんですよね。白い猿の目を。なんか違ったんです。スゲー頭良さそうな目をしてました。あー怖かったー。
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