第4話 1/25 深夜の変態

 深夜に徘徊をする事がある。

 いや、タイトルの変態は私ではないっす。頭が冴えてどうしても眠れない時に、たまーに散歩に行ったりします。


 行った事ないコンビニを検索し、深夜の静かな雰囲気を味わいながらそこへ行く。ただそれだけなんですけど、時々変なのに遭遇します。


 この前、散歩した帰り道に公園の側を通ったんですね。そしたら茂みの中から猫の声が聞こえてきまして。


「ニャァ~……」


 弱々しい感じ。どうも子猫っぽい。私は心の中で舌打ちしました。


(うわもう……聞いたら無視できんやん。大家さんに説明して病院にも連れて行かな。ミルクって駄目なんやったっけ?)


 そんな事を考えながら、スマホのライトを点けて茂みの中を探しました。すると、小さいダンボールが見えたんですね。私は近づきました。


「ニャァ~……」


 ライトの中に浮かび上がったのは、おっさんでした。地面に置かれたダンボール、その中に顔だけ詰まってる感じ。で、そのおっさんが鳴いてる。


 私は強めの舌打ちをして、見なかった事にして帰りました。一応、見間違いの可能性を考えてもっかい見に行ったんですけど、ダンボールの中には何もありませんでした。


 子猫が捨てられてなくて本当に良かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る