魔力値カンストの平民
夜見潤二
第1話 始まり
いつも通りの静けさ。そして薄暗い僕の家。でもそんな薄暗い家でも、今日はいつもより明るい母の声が聞こえてくる。
母 「アレクー、準備はできたの?そろそろ家を出る時間だよー。」
僕 「できてるよー。なんだか僕よりお母さんの方が張り切ってるね。」
僕の名前はアレク。今日は15歳の誕生日。そして『運命の日』とも言われる日である。それは、この国では15歳になると教会で魔力測定が行われるからである。
魔力とは魔法を使うときの源とされており、魔力値が高ければ高いほど、すごい魔法を使えるらしい。ただ、魔法に関しては曖昧な知識ばかりで、まだ不可解なことがたくさんある。
そんなことはどうでもいい。僕はこの魔力測定でいい値を出して、できるだけいい仕事に就けるようになりたい。
僕たち平民は、『平民』という理由だけで貴族から差別されている。だが、魔力値が高い平民は、貴族から気に入られいい仕事に就けるらしい。
なので僕は高い魔力値を出していい仕事に就くんだ。まぁ僕が頑張っても魔力値は変わらないんだけどね。
母 「当たり前じゃない!だって今日はアレクの誕生日で魔力測定の日なんだよ!」
僕 「うん..。僕がいい仕事に就いてお母さんを楽にさせてあげるからね。」
僕は平民でありながら幸せに暮らしてきたと思う。その理由は、僕が住む国ブランディル王国は差別が少ない国で、僕たちは差別を受けずに生活してこれた。
そして、母マリナが仕事である服屋で頑張ってくれていたからだ。父は、僕が3歳の頃に殺されたらしい。犯人もわからず、父が死んでからは母が1人で僕をここまで育ててくれた。
そんな母に僕はとても感謝していて、恩返しをしたいと思ってる。しかし、母は言った。
母 「ダメでしょアレク。あなたは自分のやりたいことをしなさい。私なんかのためではなく自分のために働くのよ。それに私たち平民は魔力値なんかに期待していてはダメよ。」
僕 「でも僕はお母さんに今まで頑張ってもらった分楽になって欲しい。」
母 「んー..。アレクがそこまで言うなら好きにしていいわ。でもまずは、時間に間に合うように早く出発しておいで。」
僕 「はーい。」
僕は家を出た。魔力測定は普通、神官と測定者の2人きりで行うもので測定時、関係の無い者は原則入れない。なので母は家で待つとのことだ。
(いつ見ても立派な場所だなぁ。)
僕は教会に着いた。僕たちが住む王国の教会は、他の国と比べてもかなり有名な教会らしい。とても綺麗で大きい。
僕は待機場所に行き、自分の番が来るまで静かに待った。今日は人が少なく、のんびりしているとすぐに名前を呼ばれた。
僕は期待や不安、様々な感情を抱きながら測定場所に足を踏み入れた。
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