終焉の虚実
夏茶菓
新勢力の影響圏
大東亜の旭日旗
昇りゆく太陽は、ただの光にあらず。古より天照大神の御子孫にして現人神たる天皇陛下の御稜威が、この地上に顕れた御姿であった。戦乱に荒れ果てた大地も、民の嘆きも、その御光の下に浄められ、新たなる秩序へと生まれ変わる。
燦燦と照らされ靡く旭日旗に描かれた日輪は、単なる軍旗ではない。それは天地を結ぶ神の御印であり、暗き時代を貫いて昇り続ける永遠の証であられる。人々が仰ぎ見るとき、そこに天照大神の御心が宿り、陛下の御稜威が響いてゆく。
新しき工場は社殿のごとく立ち並び、労働に励む者はただの人夫ではなく、御稜威を支える奉仕者であった。鋼鉄は神器のごとく鍛えられ、機械は神々への供物のように組み上げられていく。その滴る汗は苦役にあらず、御代を支える祈りそのものであった。
そして、映像を映す電気の箱すらも、ただの器械ではなかった。そこに陛下の御姿が映れば、それは御神体を拝する祭壇に他ならず、老若男女はその光に額づき、未来への希望を仰ぎ見た。
「日輪の下に再生あり」。それは天照大神の御神勅に連なる真理であった。幾度時も、幾度時も。太陽は昇り、闇を祓い、大地を温める。帝国の太陽は、終末を越えて世界を救う御光であり、人々に与えられた永遠の約束であった。幾度時も、幾度時も。
北畠親房〈神皇正統記〉
「万世一系の天皇これを
―国家領域―
大東亜共栄圏
大日本帝国は本土の他に台湾、太平洋諸島、サハリン、大連、山東半島を領有し、大東亜に絶対的な発言権と
中華維新政府の現領土は屈辱的なほど刈り取られ、手元には砂漠、平地、山地、荒野が広がっている。沿岸部は日本に租借され一部地域では新興財閥の為だけの国家が創設されている。
インドネシア共和国は日本軍と共同作戦を行ったことで軍部の好意の下多くの島々を治める一大海洋拠点として成長を遂げた。スマトラ島からニューギニア島までの広大な国土を有し本国企業の下、原材料の多くを輸出している。
インド連邦国家連邦はビルマ王国、パキスタン・イスラム連合王国、インパール連邦の連合で完成されており彼らは日本という解放者の名の下に留まっているだけであり、共通する利害関係を模索している。
大シベリア共和国は主に海軍の意向によって存在し国内指導者は日本陸軍、海軍出身の者が務め、軍部の対立抗争が多く起こる地域国家として存続中である。
大清国は溥儀による1950年の宣言の下誕生し蒙古国を併合したことで西に領土は伸び、日本の政治家に賄賂や企業利権を土産として東京から許諾を持ち帰り南は北南抗争の末、得た北京一帯までを領有している。
オーストラリア共和国は英国からの自治を受けているが日本国政府からの内部介入より1952年に大東亜共栄圏へ加盟した。その後、英国及び米帝からの規制措置によって日本財閥の多くが産業の大部分に根付いてしまった。
ミクロネシア連邦、ハワイ王国、ポリネシア連合は亜細亜解放宣言によって主権を獲得し、大東亜共栄圏の列強植民地解放を大々的に広めた国家群となる。海上輸送を得意とする原住民や地元住民を財閥は高値で雇い諸島の経済的結び付きが強化されインフラが整い、海洋資源の再発見などの報告が大日本放送局により放映された。
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