第25話「島の地下への誘い(いざない)」
テントから出て皆に相談した俺とアリスと凛は斎狐先生から直接地下への扉の事を聞く事にした。
ただし、サバイバル中の為にあまり人数を減らす事はいけないと感じた為に他の皆は
キャンプ地で食料やらを探すので俺達3人に任せるとの事だった。
どうやら、斎狐先生にあまり関わりたくなさそうだ。
これまでの斎狐先生の発言から分かるように
斎狐先生はヤバい人だと言う事がひしひしと感じる 、好き好んで関わろうとは確かに
思うことは無いだろう。
・・・こう言う時に番長が恋しいと感じる
斎狐先生にズバッと言ってくれると思う
番長、早く帰って来てくれ!
「・・・はぁ、それじゃあ斎狐先生に聞きに行くか」
「うん」
「ええ」
重い足取りで斎狐先生の別荘に向かった。
斎狐先生が居るであろうモニタールームへ
直行した俺達は、ノックをしてから部屋に
入った。
「斎狐先生、ちょっと聞きたい事がって、あれ?」
「居ないね?」
「居ませんわね」
「モニタールームに居なかったら何処に居るんだろう?」
俺達は首を傾げながらモニタールームを後にする。
その後に食堂へ足を運んだが、誰も居ない
大声で斎狐先生を呼んで見たが返事が返ってこない。
「うーん、何処に居るんだろう?」
「・・・もしかして、地下?」
「あっあそこにいきますの?!」
「大声で呼んでも反応無いし声が届かない所にいるとしか言いようがないよな」
「だね、生徒会長、行きましょうか?」
「ううっ仕方がないですわね」
しぶしぶと言う感じでこっちですわ、と
先頭に立って案内をする凛は物凄く行きたくなさそうだ。
まあ、得体の知れない場所には俺も行きたくは無いし斎狐先生に直接会えなかったのは
はっきり言って手間が増えただけだしなあ
謎の地下への扉とか斎狐先生の実験の場所としか思えないよ。
「ここですわ」
凛の案内でやって来た地下への階段がある扉の前、なのだが開いているのだ、扉が。
「・・・開いてるな」
「開いてるね」
「開いてますわね」
3人揃って開いている扉の前で立ち止まる。
うん、斎狐先生は確かにこの先にいるのだろう。
「行くしか無いか」
俺がそう言うとアリスと凛は無言で頷いた。
階段を降りて重厚な鉄の扉のまで行くと
完全に開ききった。
そこで見たものは何やら大きなカプセルの様なものがたくさん並んでいる。
「中に何かいる?」
「うーん、動物、かな?」
「この鳥、昨日夕食にたべませんでした?」
「ああー、確かに・・・え?」
「・・・あの、さ、もしかしてこの島の動物は」
並んでいるカプセルの中の動物達はこの島でちらほら見かけた動物ばかりだった。
「おや?君たち」
「「「ひえっ」」」
「あははっ驚かせたかい?」
後ろを振り向くと斎狐先生が笑いながらこちらに歩いてきていた。
「斎狐先生、あの」
「ああ、気になるよね?」
「はい、島で見かけた動物ばかりなんで」
「まあ、簡単に言うとバイオプラントだよ」
「えっと・・・人工肉とかそう言う?」
俺がそう答えると笑顔を浮かべて頷いた。
「そうそう、それであっているよ。
この島はね、元々が火山だけあった不毛の土地だったのさ」
「ええ?そうは見えなかったのですが」
「そこは学園の能力者をこき使ったからねえ」
カラカラ笑う斎狐先生に若干の恐怖を感じながら俺は質問をする。
「じゃあ、この島は人工島って事ですか?」
「ああ、自然にあったのは火山だけであとは
土地の塩分濃度を下げたりその後は植物を植えてテストしてから地下水脈を操作して川を作ったり虫を放って自然に近しい植生を整えてと始めは大変だったよ」
「おおー、凄いですね、あれ?でもそれじゃあ凛が聞いた叫び声は?」
「ああ、昨日はオズウッド君がこちらまで降りてきていたときだね?」
「気が付いてらしたのでしたら一声かけていただけませんこと!」
「いやいや、だってオズウッド君がすぐに逃げちゃったからさあ」
クスクスと笑い腕をあげるとバサリと何かが
飛んできた。
「オウム、ですか?」
「ああ、そうだよ、ほらご挨拶」
「ギャああアっコンチワ!コンチワ!」
「あっこの声は」
「この子は誰かがここに入ってきた時に知らせてくれるんだよ、叫んでね」
「あぅっ」
顔を真っ赤にする凛、オウムは斎狐先生から果物をもらって食べている。
どうやら変な実験はしていないようだ。
まあ、動物の培養はしているようだが
「ちなみに、動物は美味しくなるようにいじっているんだよ、どうだった?」
「あっ、確かにお肉が塩胡椒だけで凄く美味しかったです」
「じゃあ、良かったよ、おすすめはイノブタだよ?」
「!今すぐ戻って皆に伝えよう!斎狐先生、
ありがとう!」
俺は走ってその場を後にする、アリスと凛も急いで着いてきた。
今日は豚焼き肉だ!!
「あははっ素直だなあ」
「ギャア?」
「ほら、いつもの所へお帰り」
「ギャア!」
バササッと羽ばたいて止まり木へと着地する
輪道君の素直さは貴重だ、他人を信じたら
とても嘘臭い私であっても信用してくれる
「・・・眩しいなあ」
何時からか私には無くなってしまった物を
持っている子供達に憧憬しつつ自身の研究に
目を向ける。
「・・・新人類への進化」
人は環境で進化する、その場を整えれば
必ず、そうして順応していくそうすれば
「世界には・・・」
私はバイオプラントの奥にある扉をあけた
そこにはバイオプラントのケースを大きくした物があり中に少女が浮かんでいる。
「・・・・・《とわ》」
ケースに触れて私はその少女を優しい目で見つめる。
「・・・私達の、いや、ぼく達の子が記憶を捨ててまで今を現代を生きようとしている」
ふと、ケースの中の少女が笑った様な気がした。
「・・・ああ、そうだね・・・《りんね》は
強い子だ、きっと、いや、絶対に・・・」
ただ、確信を持ってそう言える。
あの子は帰ってくると・・・・
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