第23話「テントペア争奪戦」
あれから夕方になっても番長が帰って来ない
ご飯の用意も終わり番長を待っていたのだが
一向に帰って来る気配が無い。
「番長、大丈夫かな」
「万場君なら大丈夫だよ、一応学園ランキング二位なんだよ?」
「は?え?マジで?」
「うん、本当に本気で能力を使ったら誰も勝てないはずだし」
「ええー、そんなに?」
「うん、僕なんてテレポートした先に一瞬で追い付いて来られたしね」
番長、なんて凄いんだ身体強化ってそこまで
能力を上げられるなんてヤバイな!
「だから、心配しなくて良いよ。
真澄君に心配かけるなんて万場君の方が悪いんだから、ね?」
俺が心配し過ぎているからアリスがそう言って俺の心配を解かしていってくれた。
そうだな、番長だから大丈夫だと思っておこう!
「うん、よしっ!さてと、皆ー番長の分だけ取っておいてご飯にしようぜー!」
俺はお腹をぐぅと鳴らしながら皆が待っているキャンプへと戻っていく、アリスには感謝だな。
そして、ご飯を食べた後、一つの問題が発生した。
お風呂?いや、それは斎狐先生の別荘にて
男子と女子が分かれて入らせてもらった。
うん?アリス?ははっ男子全員の意思によりアリスだけは女子陣の後に一人で入って貰ったさ、ただね、アリスが俺の腕を引っ張って頬を赤く染めながら一緒に入らないの?とか聞いて来た時は本気で死ぬかと思いました。
もちろん、俺はまだおかたずけしているから先に入ってとお願いしたのさ!
アリスが一人でお風呂に向かった後は男子全員から涙を流しながらの拍手を貰った。
まあ、そのお風呂は俺が斎狐先生にせめてもの抵抗に入らせてとごねて見ると斎狐先生がしょうがないなあ、と折れてくれたのだ。
だから、さっぱりしているのだが問題はここからだった。
「真澄と同じテントにはあたくしが入ります」
「さすがに駄目ですよ!生徒会長!
真澄君と同じテントは僕が一緒に、その、
入ります!」
「・・・《コクリ》」
「シズッちもマスミッちと同じテントが良いんだってさあ、ねねっ、ここはさ間を取ってね。
あ、あーしとマスミッちとかどうかな?」
「ちょ!?ちょっと!?皆さん落ち着いて下さい!流石に男女で一緒にテントはいけないとあたしは思うんですけど!
あ、で、でも輪道君がそれでも良いなら
その、あたしでも?」
はい、何故か俺と一緒のテントをめぐって言い争いが起きてしまっています。
先程から話が全く進んでいません。
助けて、番長!!
そうだ!こう言う時にこそ教師たる斎狐先生を頼ってみよう!
「寝るのは構わないけど不純異性交遊は駄目だよ?」
「なんてこった!」
逆にOKを貰ってしまい逃げ道を無くしてしまうとは!
いや、待てよ?アリスは男?だし静流も男だ
俺が決めてしまえば女子陣は何もいわないのでは?
「あ、あのさ俺──」
「仕方がないですわね、あたくしと真澄の
甘い一夜の為に実力で勝ち取るしかなさそうですわ」
「生徒会長の好きにはさせないよ!真澄君と
初めてのキャンプの夜は僕とすごすんだから!」
「・・・・・《コクリ》」
「シズッちもマスミッちとお泊まりしたいってさあ、あーしもキャンプで一夜あかして
仲良くなりたいし!」
「あたしも輪道君が良いならこれを切っ掛けにしてもっと仲良くなりたい」
駄目です、俺の言い分を聞いてくれそうにないですね、どうしようか?いや、本当に!
このままではバトルが繰り広げられてしまう
せめて穏便にすませてもらわないといけない
「皆!せめてじゃんけんで!今にも殴りかかろうとしてないでじゃんけんで決めよう!
なっ?!そうしようよ!なあっ!」
俺がそう言うと戦闘態勢に入ろうとしていた
5人が俺がそう言うならばとしぶしぶながら受け入れてくれた。
もう血の気が多すぎないかな皆、と言うか
アリスでさえ握り拳を作ってまで俺と一緒のテントが良いからとか言うのは、あ、そう言えばクラスの皆とあまり仲良くは無かったんだった。
ボディーガード組の人とは大分ましな方だから忘れてたや。
そして、始まったじゃんけんなんだけど
続くは続くはあいこの嵐、出しきる瞬間に
どうやら相手の手を見て出す手を変えているようだ。
あまりにもあいこが続く為に一端止める。
取り敢えず全員目隠しをしてやってもらうことにした。
一回目の脱落者は動飼だ、負けたら涙目で
俺を見てきたのだが一応フォローしておくか
「また、機会があったらその時は順番と言う事でなら良いとおもうよ?」
「ほ、本当に?あたしでも?」
「うん、嫌いじゃ無いしお泊まり会みたいなのを開いても良いよね」
そう言うと他の人も少しだけ安堵の息をこぼした。
この機会しか無いと思っていたのだろうか?
しかし、凛とアリスの闘志は揺らぐ事はなかった。
「真澄との甘い一夜の為に!」
「真澄君との初めてのキャンプ!」
・・・他の人達との熱量の差よ。
あまりの熱量に後の二人が戸惑っているが
じゃんけん続行!
2回目の脱落者は氷夜守だ。
「むう、残念だし~でもでも、お泊まり会すんだよね?」
「うん、まあ、日を改めてな」
「じゃあ、せっかくだしこの負けた順で良くない?」
「え?うーん、まあ、そうだなその方が平等だよな」
「うししっうっしゃ!」
小さくガッツポーズを決める氷夜守とその横で動飼もニコニコしている。
じゃんけん3回目の脱落者は静流だった。
「・・・《しょぼん》」
「まあ、ドンマイだお泊まり会するからさ」
「・・・《コクリ》」
静流は静かに俺の隣で体育座りをして最後の戦いを見守る事にしたようだ。
「あなたで最後ですわ、伏義野きゅん」
「僕が勝たせて頂きますよ、生徒会長」
《じゃん、けん、ぽん!》
そして、その勝者を確認するべく俺は手元を見る
「あいこだ!もう一度!」
《じゃん、けん、ぽん!!》
「っ!決まった!」
「どっちです!?」
「どっちなの!?」
「勝者はっ~~~~アリス!!」
目隠しを取り外して喜んで飛び上がるアリス
対象的に凛は膝から崩れ落ちて悔しがった。
「やったあ!」
「うぐぐっそんなっ!」
俺はもうかなり眠たかったのでもうテントに入りたかったが一応伝えとこうか
「また日を改めてなお泊まり会をするからさ
その時に順番にな」
「うぅ、順番?」
「負けた順だってさ」
「ほぼ最後ではないですかあ!!」
「あードンマイ?」
「うわ~んっもう良いですわ!あたくしっ
斎狐先生の別荘のベッドを奪って寝てやりますわぁ!」
そう言って走って斎狐先生の別荘に強襲して行ってしまった。
まあ、ある意味で大丈夫そうだが斎狐先生の実験の協力者にされないと良いが・・・
残された俺達は解散してそれぞれのテントに
入ることにしたのだった。
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