第7話:天気君のお母様。

実は天気君は自分のマンションにアンブレラがいることは誰にも話して

なかった。

田舎の母親にも内緒にしていた。

なんて説明したらいいこかも分からないし・・・エルフなんて言ったって

その存在を知らない人には意味のないことから・・・。


だから時々、自分のマンションに母親が訪ねて来ることを天気君はすっかり

忘れていた。


天気君が大学へ行くのと入れ違いに天気くんの母ちゃんが彼のマンションへ

やってきた。


母親は天気君がいなくても勝手にやって来ては部屋の掃除をしたり、

買い物をしたり溜まってる洗濯物を洗ってくれたりして、とってもありがたい

んだけど・・・今日はちょっと事情が違った。


アンブレラは天気君から、「誰か訪ねてきても、出なくていいからね」

言われてたけど、母親は天気君の部屋のドアホンを鳴らさなくても

合鍵を使って勝手に入ってこられるんだ。


いくらアンブレラがシカトしても意味なかった。


天気くんの母親は、アンブレラがいることなど知らないから、いつもと

変わらず玄関を上がってリビングまでやってきた。

そしたら、そしたら目の前に見知らぬ女の子がソファにへこ座ってテレビ

なんか見てるじゃないか。


「え?、ごめんなさい・・・私、部屋間違えたみたい?」


で、玄関に戻ろうとして気づく。


「でも鍵、開いたわよね・・・ってことはこの部屋、天気の部屋よね」


でまたリビングに戻った母親今度はちゃんとアンブレラを見た。


アンブレラは母親にニコって笑って、ちょこんとお辞儀した。


「お先にお邪魔してます」


彼女を見た母親は、すぐに大学いる天気君のスマホに連絡を入れた。


《え?母ちゃんか・・・なに?》


「天気の部屋に知らない女の子がいるんだけど・・・誰、この子?

もしかして空き巣?女の泥棒ってめずらしくない?

しかもねよ〜く見たら耳が尖ってるのよ・・・この子何者?・・・説明して」


《げげっ、母ちゃん僕のマンションに来てんの?》


「そうよ、今来たら・・・いるのよ、変な子が・・・」


まあ、たしかに人間じゃないわな・・・。


《あのさ、これには深い事情があるんだよ》

《それにそこにいる子は・・・母ちゃんには初かもしれないけど・・・

僕にとっては大事な人なの 》


「大事な人て?・・・お付き合いしてる子なの?」


《まあ、いいわ・・・ここで説明してたらキリがないから帰ってから

ちゃんと話すから・・・》

《学校にいてもつまんないから今から帰るわ・・待っててよ 》


少なくと天気君がマンションに帰ってくるまで30分はかかる。


それまで知らない女と知らない女は向き合うことになった。

なんとなく居心地の悪い雰囲気の中、アンブレラからしてみたって

このおばさんは何者?って感じ。


でもさっき天気くんに連絡してたところを見るともしかしたら

この女性は天気君のお母様?ってことはなんとなくだけど分かった。


さあ、これからが大変。

アンブレラは今のこの状況をを母親に分かってもらうために必死で説明

しなきゃならなくなった。


どこまで母親の脳みそが理解できる水準レベルにあるのかは分からない。


エルフなんてキャラ自体、母ちゃんにはあずかり知らぬ存在。

耳の尖った女の子なんて見たことないし・・・。

天気君ならいざ知らず予備知識のない母親にはちょい難しい問題だった。


母親が、いの一番に思ったのは天気は一人暮らしをいいことに私に

内緒で女と同棲して・・・なんてふしだらな息子ってこと。


母親は天気くんが彼女を作ることには反対じゃなかったけど、自分に

内緒ってところが気にくわなかった。

自分が息子から阻害されてるようで寂しかったんだな、母親は。


子離れしないってのは、まあどこの母親もそうだと思うけど・・・。


とぅ〜び〜こんて乳。




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