第5話:いますよ超イケメンの彼氏が。

「天気君、起きて・・・お〜き〜て〜」


って、可愛い優しい声で起こされるのが今の天気君にはすごく心地いい。

たぶんこれが母親だったら、めっちゃ機嫌が悪かっただろうけど・・・。


最近は目覚まし時計の音しか聞いたことなかった天気くんは朝、目覚める

ことが楽しくてしょうがなかった。

そりゃそうだよね・・・可愛いエルフの女の子に、お世話されるって

それだけで愛おしくなちゃうでしょ。


だから天気君はこの時点で、アンブレラに完全にイかれてたんだな。

いやいや、そもそもはコスプレイベントでアンブレラを見たときから

天気君の心はアンブレラに上の空だったんだ。


天気君は、とりあえず顔洗って歯も磨いて・・・代わり映えしない自分の

顔見て髪を整えてナルシストな気分になって、でキッチンテーブルへ。


「おはよう天気君」


「おはようアンブレラ」


「お目目覚めました?」


「気持ちよくね・・・君こそよく眠れた?」


「うん・・・」


「ん?眠れなかったの?」


「大丈夫です、場所が変わったからだと思うから・・・」


「そう・・知らないところで不安あるかもしれないけど慣れてね」

「君がホームシックにかかってないか毎日心配でさ」

「大丈夫?」


「はい、それ毎朝、気にして聞いてくれますね?」


「アンブレラが落ち込んでたら可哀想と思って・・・」


「ありがとう・・・優しいね天気君」


「あ、いや〜知らないところに来てるんだから不安かなって思って」

「僕が逆の立場ならめちゃ不安だから・・・心配するのはあたりまえだ

と思って・・・」


「ありがとう・・・はいコーヒー」


「あ、ありがとう・・・この間までひとりでコーヒー入れてたからな」

「アンブレラが入れてくれるコーヒーは僕の入れたコーヒーより何倍も美味しい」


「そうお?・・・中身は変わんないよ」


「それは違うよ・・・味だけじゃなくて気分的な問題」


「愛情たっぷりコーヒーに注いておいたから・・・冗談だけけど」


「は〜・・・エルフでも、そんな冗談言うんだ・・・」


「定番だよね」


「まあ、たしかに、そのセリフはよく聞くよね・・・」


「あと、トーストにスクランブルエッグにベーコン・・・食べて?」


「毎日、毎朝お手伝いさんみたいなことしてもらってごめんね?」


「大丈夫ですよ、お料理好きですから私・・・楽しいよ」

「私こそ、天気君ちに押しかけちゃってごめんね」


「アンブレラも・・・それ毎日言ってるよ」


「そうでしたっけ?」


「いいんだよ気にしなくて・・・僕が好きで君に居てもらってるんだから」


「え?、そ、そんな〜・・・照れます〜」


「え?・・・照れるって?・・・なにが? 」


「いま、私のこと好きって?・・・言いましたよね」


(え?・・・すげえ、勘違い)


「うん、でもまあ好きってところは間違ってはいないけど・・・」


(最初に会った時から僕は君にメロメロなのは否定できないし・・・)


「私を助けてくれたことは感謝してます」

「あの、こんなこと言うと、軽い女だと思われやしないかって心配なんだけど

私も天気君に好意持ってるよ」


「いや〜僕んちにいるからって無理しなくていんだよ」


(好きって言ったのは君の聞き違いなんだからね・・・)


「まだ天気くんちにお世話になって一週間しか経ってないのに

そんなこと言うのは不謹慎かと思って・・・」


「そんなの関係と思うけどな」


「誰かを好きになるのに会ったその日に心が奪われることだって

あるだろ」

「それが証拠に僕は最初アンブレラにコスプイベントで会った時に

もう君のこと好きになってたもん」


「それはなんとなく分かってました、天気くん分かり易い人だから」


「分かり易いって・・・」


そう言いながら天気くんはアンブレラが入れたヒーヒーを飲み始めた。


「あのさ、ひとつだけ聞いておきたいことがあるんだけど・・・」


「なんですか?」


「あの・・・アンブレラ向こうの世界に恋人とかいなかったの? 」

「好きな子に彼氏がいるって話はよくある最悪のパターンだけど・・・」


「いますよ、超イケメンの魔法使いが・・・って言ったら天気くん、

どう思います?・・・ショックですか?」


それを聞いて天気くんは飲みかけのコーヒーを「ブシャ〜〜〜〜」って

思い切り吹いた。

で、今度は思いっきりコーヒーを気管に吸い込みそうになった。


とぅ〜び〜こんて乳。



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