ゾンビ&リメンバー



ゾンビに噛まれたらゾンビとなる。


噛まれた傷口からウィルスが感染しゾンビ化するわけではあるが……。



Q:ゾンビと粘膜接触した場合、果たしてどうなるか?


A:出す側はギリ感染しない。



ギリギリアウトなのでセーフであった。わりと崖っぷちではあったが真弘はゾンビウィルスに感染することは無かった。


そも、真弘は女の子ゾンビに噛まれていたが、無傷で感染もしなかった。これにはちゃんとした理由があった。


異世界にてヒモ生活を送っていた真弘。一般人以下のゴミクズであり、ゴロツキに絡まれたら即素っ裸に剥かれて、最悪奴隷商に売られてゴロツキのその日の酒代になのは間違いなかった。


それを案じた保護者のルーリスリアが真弘に防御魔法やら状態異常耐性を付加する魔法をかけていた。異世界では気休め程度ではあったが、ゾンビ蔓延る終末世界では絶大な効果を発揮したのである。


異世界から帰ってきて間もなく、その魔法の効果が残ったままの状態だったので真弘はゾンビに噛まれても無傷で、さらにゾンビと粘膜接触してもウィルスに感染しなかった。


またルーリスリアが毎日のように甲斐甲斐しく真弘相手に魔法を付与したことによって真弘の身体にも変化が起こっていた。



真弘はゾンビをダッチワイフ代わりに溜め込んでいたありったけの欲望をぶちまけた。締め付けがとても凄く、中はちょっとヒンヤリしててこれがまた良いなどなど。そんなんで調子に「乗り相手はゾンビだしいくらヤッてもかまへんやろ!」などなど。からっぽになるまでゾンビの体内に生命エネルギーを注入して、最終的には疲れ果てて寝落ちした。なんかいい夢見れた。


そして真弘が次に目を覚ました時。女の子ゾンビに変化があった。


ゾンビの青紫色に変色していた肌が半分ほど普通の人間のような肌色に戻っていま。さらに赤黒かった両目の片方が通常の色に戻っており、そこに自意識のようなものまで見て取れる。


真弘が目を覚ましたのを確認するとゾンビは何やら呻きはじめる。何かを訴えてるようだ。それを見て真弘はおっかなビックリ噛まれないようにキツく締め上げていた縄を解く。



「相手がゾンビだからって好き放題するとか……最低ね、あなた」



人としての意識を取り戻した女の子ゾンビーー井坂星那は開口一番、真弘にそう言い放った。



「大変申し訳ありませんでしたっ」



とりあえず土下座した。



「謝って済む話じゃ……。まあ、そのおかげで意識を取り戻したみたいだから、別にいいけど」


「えっと……キミは、ゾンビから人に戻った……?大丈夫?急に噛み付いてきたりしない?」


「そんなの分からない。意識はしっかりしてる……けど。ちょっとあなたに噛みつきたい気はする」



意識を取り戻した星那だったが、まだ完全に人に戻ったというわけではなかった。身体の半分はまだゾンビのままであり、言うなればハーフゾンビといったところだろう。



「あの……なんでこんなゾンビパニック映画みたいな感じになってるんですか?」


「んー……。ごめん。ゾンビになる前の記憶……あまり思い出せない……っていうか、それはまだ無事なあなたの方が知ってることなんじゃないの?」


「いや俺、昨日まで異世界に居まして……それで戻ってきたら、こんなことになってまして、だから何がどうなってるか、サッパリなんですよねー」


「なにそれ……あなた頭おかしいんじゃないの……?」



揃ってほぼ何も分からなかった。


ひとまず2人は現状を把握すべく行動することにした。



「そういえば自己紹介まだだったわね。私は……名前……名前……。そう、井坂……井坂、星那」


「星那さんですね。今後ともよろしくお願いします!俺は中里真弘です!」


「なにがよろしくなんだか……。まぁ、よろしく。真弘」





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