第4話 ターニングポイント1
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この作品は多少の鬱展開があります。
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馬車に乗ってから小一時間ほどがすぎた。どうやら俺たちの村は王都からそこそこ近かったらしく、(といっても歩いた場合は途方もないほどの距離だが)あと二、三時間この馬車に揺られていれば、もうこの国で一番栄えている場所に到着する。
そんな時隣でサラが俺に声をかけてきた。
「ねえねえ、この馬車に乗ってる子はみんな学園生かな。ちょっと喋りかけてみようよ‼︎」
たしかに辺りを見渡すと、同じくらいの年の少年少女で溢れている。仲の良さそうに友達と話すもの、すでに予習を始めているもの、おそらく王国中から集められている彼らは、すでに自らの個性の主張を始めていた。
そんななか、こちらに向かってくる赤い髪の少年と、その少年の後ろで怯えたような様子で着いてきている緑色の髪の女の子がいた。おそらく同じ年だろうが、赤い髪の少年は年に見合わず大きな体を持っており、彼はわずかな行動でも周りの目線を集めている。
おそらくそれは彼の恵まれた身体のせいだけではなく、彼の一挙手一投足はなぜか他人を惹きつける不思議な魅力を持っていた。そして彼はこう話しかけてきた。
「すまない。君たちも今年から学園生か?俺の名前はブレイブ。後ろの子の名前はリア。よかったら仲良くなりたい。この退屈な馬車の中を、君たちと過ごせたら楽しいだろうと思ってな。」
この紹介だけで、彼の性格がよくわかる。
このまま黙っているのは失礼なのではないかと思った矢先、サラが返事をした。
「そうだよー!よろしくね!ブレイブと、リア!私はサラで、彼はペイン。ねえねえ、二人ともどこの学園?私たち二人は第二だよ!」
王国中の子供が集まるのに学園が一つで足りるわけがなく、今王国にある学園と呼ばれている場所は全部で3つあるらしい。
それぞれの創始者が教育理念を考え、それに沿った教育方法をとっているようだ。
「おおそうか!奇遇だな!俺たち二人とも第二だ。よろしく頼む。」
「えええ!じゃあこれから同校生じゃん!よろしくね!」
彼らも孤児院出身であることもわかり、その後意気投合した俺たちは、二人と2時間ほど話し続けた。
ブレイブは同じ孤児院に病弱な弟がおり、どうにか王都で一旗あげたいと語っていたのが印象的だった。
しかしそんな楽しい会話は、突然に終わりを告げた。会話が盛り上がっているところ、それまだ静かだったリアが突然鉄を爪で引っ掻いたような声でこう言った。
「ねぇ、やっぱり何かおかしい!ずっと私たちの周りで!上で!何かがすごいスピードで動いてる!それも、複数!」
俺もブレイブもサラも、なんのことだかわからず首を傾げる。
「なにか、風を切るような音。いやっ!!!こっちに、せまってく----------」
リアが、それ以上言葉を発することは、無かった。俺たち3人の前には、謎の光が一瞬横切り、、、、、気がついたら、リアの顔面の右半分6割ほどが、一瞬にして消し飛んでいた。
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