5話 ルイという魔法使いエルフ

 アランさんの親友であるルイさんと偶然出会い、私はルイさんと意気投合し、彼の自宅で、期間限定のチョコサンドを味わっている。アランさんは私の横でムスッとほほを膨らませながら、ルイさんが淹れたコーヒーを飲んでいる。


「ねぇ、ルイ。あの子いないの?」

「アノールのことですか? 彼なら庭にいると思いますけど……。呼んできましょう

か?」


 アノール? もしかしてアランさんが言っていた、私と同い年の子かしら?


「構わないよ。元気にしているか気になっただけだから。それよりさルイ。ルナに魔法を教えてあげてくれないかい?」


 アランさんはルイさんにお願いをすると、ルイさんは私の顔をじっと見つめてきた。私は気にせずにチョコサンドを味わった。


「アラン。身長は同じですけど、少しだけ魔力量と姿形は違うと思っていましたけど、やはり転生者なんですね。この子」

「そうなのだよ。それで、僕と契約を交わしたんだ。僕の『呪い』を解くってね。解呪方法を探す前に、『魔法』と『魔術』の両方を教えようっていうことになってね。この先必ず必要になるからさ」

「それなら、魔法学園に編入したらどうですか? その方が早いのでは……」


 魔法学園!? アランさんが言っていた学園のことだ。学園生活してみたい! でも、そんな暇ないだろうな……。


「いいかもね。だけど、その前に基礎だけは教えてあげたいんだ。そうすれば、仮に編入しても、すぐ追いつけるだろうからね」

「それもそうですね。魔術はアランが教えるのですか?」

「そうなんです! あと、ここに来る前に『スライム』と遭遇したんですけど、その時に魔術を見せてもらったんですよ!」


 ルイさんにさっきの出来事を話すと、何やら首を傾け悩み始めた。


「どうしたんですか?」

「ルナさん。今『スライム』と言いましたか?」

「はい?」

「この国……。セラウム王国には、魔物を寄せ付けない結界が張られているのですが、魔物がこの国の近くに現れたということは、その結界の力が弱まっているということになります」


 結界なんて張っていたんだ。それよりも、この国の名前初めて聞いた。


「結界ってどなたが張っているのですか?」


 ふと疑問に思ったことをルイさんに問うと、首を左右に振った。分からないというわけか……。


「じゃあ、この国を治めている方は?」

「魔法学園校長ですよ。校長自ら学園を一から作り、校長を務めているんですよ」


 校長自ら!? 予想外な回答にびっくりした。国を治めながら校長を務めるなんて難易度高すぎん!? それだけ実力があるわけね。その人に会えば、アランさんの『呪い』について何か教えてくれるかもしれない!


「ルイさん、アランさん。私その魔法学園に編入したいです! 『魔法』と『魔術』の基礎を教えてください! その方ならアランさんの『呪い』について何か知っているかもしれない! それにですね、学園生活をしてみたいというのもあってですね……」


 後者は確実に私情。だって! 学生時代青春の青の文字なんかなかったもん! 楽しくなかったから、今度こそ満足する青春を送ってみたい! これって契約破棄になってないよね?


「我が儘ですかね……?」


 私は恐る恐る二人に聞くと、二人してクスクスと笑い始めた。


「いいんじゃない? 素直で」

「私もそう思います。では、明日からよろしくお願いしますね。ルナさん」


 二人は私の意思を尊重してくれた。こうして、アランさんから『魔術』を。ルイさんからは『魔法』を教わることとなったのだった。

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