第3話 新種

2箇所目には兎がいた。兎は素早いが、広範囲を凍らせてしまえばいい。


3、4箇所目は難なく済んだ。

早く研究院へ向かいたいところだが5箇所目は簡単には終わらなそうだった。


敵は狼。それと花らしきもの。

(動物以外もあるんだ…!)

植物の姿は今まで見たことがない。

(でも影は白いし花びら?の中心も白い…。敵、だよね?)

狼はすぐに襲ってきそうだが花は風で揺れているだけだ。

(花って燃やせばいいのかな?属性的に不利かも。)

内心焦りつつ向かってきた狼を凍らせて砕く。

(まずは凍らせてみよう。)

花に向かって氷を放つ。

すると、地面から生えたツタに防がれてしまった。

(なるほど。氷は通らなそう。)

次に電気のレーザーを放ってみる。

ブシュッ

見事にツタを貫通して花を大きく削った。

(レーザーは効果あるんだ。)

空に帰る煙を見ながら、対抗出来ることを知り心を撫で下ろした。

(花のことも研究院に伝えておこう。)

そして次の場所へ向かった。


5箇所目以降は狼と蛇、それと花が入り交じった戦闘が続いた。

(あと3体…!)

平均的な数とはいえ、若干ながら連携激してくる敵。さらには花という新種まで相手にしているため、精神的に消耗している。

(ちょっと距離が近いんだよね。)

敵は自ら移動することは無いが、視界に入ると追って来る。上手くバラけている敵をまとめて相手するようなことはしたくない。

(まず近くまで行ってみよう。)


(…いた!)

戦闘区の端、街にだいぶ近いところに花が1体いた。

(ちょっと遠いけど、レーザー打っちゃお。)

ポスッ

上手く花を打ち抜けた。

(あとは…いた。)

こちらも花だ。

ポスッ

(最後どこだろ?)

気配を探すが感じられない。

(ほんとにいるの?)

モニターの数字はあまりあてにならない。

かといって、戦闘終了の合図をしてしまえば整備士や守護者見習いが片付けに来てしまう。

(残ってたらまずいよね。街の方行ってみよう。)

黒煙は一定の場所に降ってくるため、街に敵が現れることはほぼない。しかし一応のため、残りの1体を探しに街へ向かった。


体に薄く氷を張り、髪色、目の色などを変え街に入る。戦闘中の守護者が街へ来たことが知られれば、街に敵がいるかもしれないことがバレる。

(早く見つけなきゃ。)


しばらく気配を探しながら歩くと、何やら大きめの気配が街の中心の方にある。

(中型?そんなのが街にいてバレてないの?)

上手く街に溶け込んでいるのだろうか。


街の中心には塔がある。電波塔兼、見張り台だ。もし敵が来ることや、大事故、災害などがあった時は塔が赤く光る。


(うわ…結構でかい…)

塔の足に絡みつくように敵がいた。

敵は蕾の形をしていた。

(また新種か。多分氷は効かないんだろうな。)

レーザーを放ってみる。

蕾が硬すぎて通らない。

(硬すぎ…アルマジロじゃん)

アルマジロ型の敵など見たことないが硬そうな蕾はそれを彷彿とさせた。

(アルマジロの倒し方なんて知らないんだけど。)

何となく氷を放ってみる。すると、アルマジロは凍りつき、塔からずるりと落ちて砕けた。

(効くんかいっ!)

全く紛らわしい新種が2体も現れた。


何はともあれ、無事に殲滅が終わった。

研究院に新種のことを報告しなければ。

(その前に、ルナの所に行こうかな。)

友人の所に寄ってから行くことにする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る