オカン☆ラプソディ

喜島 塔

プロローグ

 ――あれは確か、俺が小学校に上がる前のことだったと記憶している。


「やーい! オマエんち、父ちゃんいないんだろ?」


 生来、内気な性格の俺は、近所の悪ガキの玩具と化していた。


 毎日、蹴られたり殴られたりして、傷だらけになって家に帰った。そんな姿を見かねたオカンがある日、とうとうブチ切れた。


「あのクソガキども、オカンが落とし前つけさせてやるからな!」


 オカンは3日間、留置所に勾留された。


 釈放されたオカンは、まるで何事もなかったかのように、満面の笑みを浮かべて言った。


新士しんじ、寂しい思いさせてすまんかったな……今日は、新士の好きなチーズハンバーグ作っちゃるからな!」


 あの事件以来、オカンは“眠れる獅子”と恐れられるようになり、俺は、奴らに、いじめらなくなった。


「今度は、俺が強くなって、オカンを守ってやる!」


 そう強く誓った俺は、ありとあらゆる武術を極め、今では、いじめられっ子の救世主メシアとして、いじめ撲滅運動に貢献している。

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