では本編です??? 0.50746%あなたのお側に???

第1話 憧憬


目が醒めると、仰向けになっている裸の俺の身体の上に、何本もの腕がひしめき合っていることに気がついた。


手のサイズは大小様々だが、腕だけが異常に長く、しなやかで、まるで蛇のようにくねりながら移動している。


少し上体を起こす。


うじゃうじゃと絡み合った腕の、色白の肌の海が眼前に広がっている。

天は一面、白く、遙か彼方の水平線は腕の海との境がぼやけて曖昧だ。


ここは外なのか、屋内なのか。


現実なのか、夢なのか。


俺がまずいのか、あっちが&▲*$なのか。


腕の先を見ても、何処までも続く肉の筒が見えるだけだった。


***


そいつら(腕たち)は俺が起きたのに気がつくと、俺の全身をまさぐり始めた。


やがて一カ所を見つけると、そこを無数の手が指差した。


「……なんだ、それが欲しいのか?」


返答はない。

だが、俺はそれを肯定と見做みなした。


「いいぜ、くれてやる」


そう言い切るよりも早く、そいつらが皮膚をいて、俺の体中に侵入してきた。


痛みはなかったが、そいつらが開けた皮膚の穴の淵が、そいつらと擦れて異様な不快感が押し寄せる。


「があぁ……ぐ、……っ。あぁ……!!」


やがて、そいつらは目当てのものを探り当てると、ブチブチと肉の鎖を引きちぎりながら取り出した。


「ぐぅ……あ!……ああっ!……はぁ!」


荒い呼吸をしている俺の前に、ソレは掲げられた。ソレと俺との繋がりは今や、複数の赤い糸だけ。


そして、やはりそいつらはソレを指差した。


俺は額の汗を拭った後、両目を腕で覆いながら、床に後頭部を置いた。


「……好きにしろ」


今度は言い終わってから、やつらが動いた。一斉にソレに纏わり付く。


何がされているのか、見ずとも分かった。


痛みはなく、不快感も……

いや、これ以上はよそう。


俺は為す術もなく――――感謝したい

目を閉じ――――感じ

空気を楕円に送り届けて――――波が引いてゆく

光が見えた――――遠ざかる



***



目の前の、現実の、非現実の、幻想の

蒲公英たんぽぽ

愛らしく、むごたらしい影を落としている。


そのフワフワとした綿毛を――――引きちぎってやりてぇ

軽やかに飛ばしていく。

遠くへ。一つ残らず。


それを追いかけたい俺を、後ろから眺め

伸ばした手を引っ込めた俺を、横から見つめ、

彼を美しい華にして

キレイな夜明けをまなこに映した。





~~~~~~~~~~


ここを見てるってことは、あなたも相当物好きですね。

ええ、そう言う人、嫌いで好きですよ。

俺の中、入れました?

入れなかった?

良かった。

幸運体質ですね。

え? 羨ましくないですよ

ふふふ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る