Girl's Attack!:または俺と彼女は如何にして顔を背け合うのを止めて世界とお互いを愛するようになったか

陸海 空

とあるVHSから

「やぁ!どうも初めまして!


あぁ、と言ってもこれはビデオなんだ。反応しても、こっちは一切応えられないんだ。ゴメンね?


ちょっ、待て、待て!ちょ、待てよ!ビデオを消そうとするな!リモコンを取るなよ?


解ってる、解っているとも。これを見ているであろう君は、こんな髭だらけの爺……おじさんの話なんて聞いている暇じゃないだろう。


そんなのは理解している。当然ね……


そう。理解しているけど、私は君に言わなくちゃいけないんだ……


全く"認めたくないものだな…自分自身の若さ故の過ちというものを……"ってヤツさ。


嘘ついた、若くはないな。


まぁ、その……なんだ?多分だが、君は突然大きさ10mもあろうロボット達に襲われているだろ?


大正解か!やった!


んっ、失礼。君はそれどころじゃないんだったな。悪い、悪い。


そして、君はこの私の隣で静かに立っているこの娘に助けられている。きっと、アクション女優顔負けの戦いにガンアクション。そして派手なガンカタを披露しているだろう。見る分には良いんだろうが、当事者は辛いよな?


そうだな……つまり、君は凄い状況に突然放り込まれた訳だ。


何かホラーゲームであったような…主人公が気付くと海底の廃墟に居て、でも主人公はただの人間でどうしてそこに居るのか解らない。そこに、画面の中から女の子がアドバイスしてくれるヤツ!それと似ているかな?


多分君も知っているだろうが……今後の展開的には別物だ。


そうだな……"恐縮だが、君にやって欲しい事がある……"ってフレーズのやつ。あっ、今あのゲームが頭に過っただろ?”恐縮だが……”ってあれ!私、あのフレーズ好きなんだ!話の展開やシステムも素晴らしくて……


ちょっと脱線したな?まあ、そうだよ。つまりはあれと同じだ。舞台とか装備とか違うし、超能力薬品とかはないがな。


それでも、話の展開は単純明快で解りやすい筈なのだ、伏線だらけかもだけど……


でも、君が嫌なら別に良いんだ。君には一応だが拒否権がある。ただし、拒否したら君はあの鋼鉄の巨兵達にミンチにされてカツレツにされる。君だって、カラッと揚げられるのは嫌だろ?


だがな、1つだけ方法があるんだ、生き残る方法が……


だが、それは危険と覚悟が伴う。


おっ!覚悟とか聞いてちょっとやる気が起きたかな?さては、元中二病患者かな?まぁ、当然と言えば当然なんだが……


なら君よ、後ろにエレベーターが有るじゃろ?そのエレベーターで最下層まで降りるのじゃ!


えっ?ここも地下だって?そうだよ、地下だよ。もっと下に降りろってこと!ヴェルヌ信奉者じゃなくても!


そこには、君を"神にも悪魔にも出来る"品がある。まぁ、全ての行動には隣で黙って立っている彼女が必要だから、悪魔にだけは成れないけど。


可愛いでしょ?バッチリ好みって感じかな?このシュッとした顔立ちにポニーテール、腰付きとか君や私みたいなオタクやギークの夢の結晶みたいなの!本当に作るの大変で、特に……


いやこれ以上は彼女のプライバシーに関わるから止めよう……


つまりだ!私……いや、私達は君に彼女とやって欲しいことがあるんだよ!


"恐縮だが……"チョイと世界でも救ってくれまいか?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る