何者でもない者たちの物語:烈火の魔女と本読むゴブリン
淡路こじゅ
プロローグ
人はなぜ、生きるのか?
ある聡明な少年は、そう言った。
人生とは、目の前のただ
それは真理だと思う。
一方で、かつて彼女を突き動かした情熱の炎は、別の記憶に光を当てようとする。
否、記憶というよりは、
それこそが生だ。
その魂が熱く燃えるかのような特別なときを、彼女は長い人生のなかで何度か経験した。
そして、人生の
何者でもなかった自分が、何者かになりえた瞬間。
ラザラ・ポーリン、23歳の
新緑のまぶしい季節、ついこのまえまでの新芽は、瞬く間にみずみずしい若葉となり、その背を伸ばしていく。
イザヴェル歴452年にも、新緑の季節はやってきた。
ラザラ・ポーリンは、
しかし、ここには、希望もあった。
腕を磨きたい者、仕事を得たい者、一攫千金を狙いたい者、そして故郷を追われ行く当てのないものたちにとっての、希望の地である。
通称、〈冒険者の街〉リノン。
ポーリンは、選ばれし魔法使いとしてサントエルマの森で学んでいたが、ある目的のため、自ら森を出た。父が追い求めたとされる、失われた魔法の探求のためだ。けれども、その魔法を得るための道のりは長く、険しい。
彼女はこの街で腕を磨き、資金を貯め、できれば有能な仲間も得たかった。彼女もまたいるべき場所を失い、機会を求めてこの地を訪れたのであった。
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