りょうのななふしぎ:06

 とある女子寮に七不思議がある。

 ただし、不思議の数は七つはない。


 これはその六番目の話だ。




 女子寮がある。

 大学の女子寮だ。

 その大学が運営しているわけではないが、昔からその大学の近くにあり、大学に通う者がその寮をかり、卒業したら自然と出ていく、そんな女子寮がある。


 古い建物なので色々な不思議な話もある。

 これもその話の一つだ。




 この寮には門がある。

 とっても立派なもんだ。

 まるで大きな寺の門のような、そんな門がある。


 とはいえ、像が飾っているわけでもないし、門自体の内部に入れることはない。

 物見台のような物があり、外から梯子で上り下りすることができる。

 できることは出来るが、もう古い建物だ。

 危険なのでその物見台へ登ることは禁止されている。

 

 ただ、夜遅くこの寮に部屋を借りている者が帰ってくると、その門の物見台に人影が見えることがある。

 頭だけが異様に大きく、コケシの様な人影だそうだ。


 その人影が見えた時は、寮に入る前に玄関口で、一礼二拍手し、食堂でしばらく過ごしてから各々の自室に戻るのが習わしだ。

 それをしないとその人影が自室までついてくると言う。


 ついてこられて何かあるのか?

 ただ、じっと見られるらしい。

 物陰から、その頭の大きな人影が見つめられ、そのまま寝ると近寄ってきてじっと見つめられ続けるらしい。


 それが嫌なら、玄関で一礼二拍手し、食堂でお茶でも飲んで自室へと向かえばいい。


 一説には、何かを見守っているのではないか、もしくは、監視しているのではないか、そう言われているが正体は不明だ。


 門の上にたたずむ人影、として、この話もこの寮だけで語り継がれる。







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