えすえぬえす
えすえぬえす
女は今春から一人暮らしを始めた新社会人だ。
一人暮らしを始めて女は人恋しい、と思うようになっていた。
仕事を終え家に帰っても一人。
どんなに仕事で疲れてていても家事も全部自分でしなければならない。
仕事も忙しいことがあり、女はかなり疲弊していた。
そんな時だ。女に友人ができた。
SNSで出会った女性で女と同じような境遇だったという。
仕事の愚痴を言い合いすぐに仲良くなった。
しかもいろいろ話し合った結果、結構近くに住んでいることもわかった。
ただお互い忙しく、実際に会う様な話は出ることがなかった。
女がその友人と出会って三ヶ月くらしいしたときだろうか。
違和感に気づき始める。
その友人が女の話していない私生活までなぜか知っているのだ。
例えば、化粧品の話をすれば、どこどこで買ったやつだよね、と返事が返ってくる。
そんなことを友人に話したことはなかったはずなのだが、友人はなぜか知っている。
ちょっとした違和感は積み重なり、どんどん大きくなる。
ある日、女はその友人に、その話したっけ? と聞いてみた。
そうすると、見ていたから。
と返事がすぐに返って来た。
女は焦り始める。
どれも知られて困る様な事ではないが薄気味悪し、四六時中監視されているような気がしたからだ。
はじめは一方的に特定されただけだと思っていた。
それなら声をかけてくれればいいとも思ったが、どうも様子がおかしい。
周りに人がいないはずのことや、家の中のことまで、その友人は言い当てる様になっていたからだ。
女はストーカーだと思い、その友人との交流を辞めた。
SNSをブロックし警察に相談したが、特にこれと言って対応はしてくれなかった。
それからだろうか、女は至る所で視線を感じるようになる。
だけど、その視線の方を向いても誰もいないし、何もないのだ。
女は視線におびえ、気がおかしくなりそうだった。
女はSNSのブロックを解いて、友人に抗議した。
そして、SNSの運営に抗議のメールまで送った。
だが、いつまでたっても友人からの返事は来ない。
けれど運営からの返信はあった。
そんなユーザーは存在しないと。
女が焦ってログを見返すと、ログは全部消えていた。
女のログには何も残っていない。
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