きみょう に

 前回の「きみょう」と同じような話を聞いた。

 奇妙な人形のような物が廃村のベッドの上に寝かされていると。

 ただ同一の物かどうか、それはわからない。

 だから、別物の話として扱う。


 それは陶器のような何かでできた人形で異形の姿をしている。

 茶色っぽい肌色で胴体は円柱。

 首が異様に長い。

 ついでに手足も長い。

 それに、人間のような頭部がついている。

 顔は怖くて確認できなかった、という話だ。

 あと、全体的なイメージが茄子馬のようだったと言っている。


 その見た目の特徴で類似点は多い。

 ただ「きみょう」の話を聞いた県からは、かなり離れた位置の県の話だ。

 同じようなものが複数体いるのか、それとも同一個体なのか。

 それもわからない。


 ただそれが視界に入ったとき、それを見たものはゾワゾワっとしたものを感じたそうだ。

 それを見た者は、面白半分で廃村など行くものではないと後悔したそうだ。


 ここまでなら奇妙な気持ちの悪い人形が安置されていた、という少し変わった話で終わる。

 終わらないからこの話になった。


 その者たちは男女合わせて数名で廃村を見て回っていたという。

 そこでその奇妙な人形のような物を見る。


 それを見た一行はヤバイ物を見た、ということで、すぐにその廃村から逃げ出したらしい。

 全員、車に逃げ帰りすぐに乗り来た道を引き返した。


 道の駅。

 そのような場所に立ち寄り、ご飯を食べる。

 あれは何だったのか、ヤバイ物を見た、と話しながら夕飯にありつく。

 もう日は落ちている。

 けれども、まだ夜の七時を廻っていないような時刻だ。

 うどんなんかの簡単な食事だったという。


 ただ道の駅なんかは外と全面がガラスで仕切られてたりする。

 だから外の様子がすぐに見えてしまう。

 まだ遠くの位置に、あの奇妙な人形が見えたのだという。

 それは動いてはいなかったが、まるで自分達を追って来たかのように遠くの、かなりの大通りを挟んで道路のむこう側の森から自分達を覗き込む様に見ていたのだと言う。


 その姿を全員が確認し、食べるものも食べれずに全員慌てて車に逃げ込んだ。

 その時、運転席の男だけ、バックミラーに写ったその人形の顔を更に見たという。


 ガラスのような目ではなく、暗く何もない穴が目の位置に空いていてより一層不気味だった、そういう話だ。

 ただその人形のような何かが直接動いているところを見たというわけではない、とのことだ。


 それがもう三、四年前のことになるそうだ。

 それ以来その人形のような何かを見たことはないという。

 また似たような話を聞いたら、文字にしてみたいと思う。




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