第6話 人の世に害をなす存在
こうして積年の想いは儚くも、無常にあっけなく終わりを告げた。残されたものは、虚しさや切なさといった両面の思い。そんな寂しさを励ますかのような光景。緩やかに漂う
それは先ほど、枝に寄り添っていた最後の
「みんな僕の言うことを信じてくれていると思ってた。けど、違っていたんだね。見えているのは、僕と婆ちゃんの二人だけ。そうでしょ、
(にゃ?)
立ち去る
「駄目だよ、そっちに行ったら。あまり長くいるとね、人の歪んだ念で
(にゃ、にゃ?)
突然にも
「さあおいで、心配しなくても大丈夫だよ」
(にゃぁーん)
「お前も寂しかったんだね。分かるよ、その気持ち。だからね、これからは一人じゃない。僕が仲間達の場所へいざなってあげる」
そっと黒猫を抱きかかえる
(にゃ……?)
これを不思議そうに首をかしげる黒猫。
「そうだよ。
(にゃ…………ぁ、にゃん!)
その問いかけに、黒猫は間をおき考える素振りを見せる。といっても、数秒。やがて納得したような態度で、可愛らしい鳴き声をあげた。
「よし、いい子だ。目を閉じていればね、すぐに終わるから安心して」
「
まるでそれは呪文のような言葉。迷いのない境地へいざない、心の安寧へと導くもの。
二つに分かれた尊霊。つまり、
その念とは、
やがて憑依された人間の末路。言うまでもなく、悪事の衝動に駆られ殺しなどの犯罪に手を染めた。そして最後には、自らの命を絶ち無情の結末となる。何とも
日本における毎年の自殺者総数は2万人。祖母が言うには、少なからずこの事象が関係しているという。呼び名も悪霊ではなく霊鬼といい、
このように心を支配されれば、本人の意志ではどうすることも出来ない。ただただ、為されるがまま死を待つのみ。とはいえ、何もせずに眺めているだけではなかった。
こうした奇怪な事件に立ち向かい、世に安寧を
その名は
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