異世界転生者、転生前にワンクッションある説
甲賀流
第1話 実はあなたの身近に異世界が
現実世界───
学校帰り、男子高校生2人はゴミ捨て場の古いドアを眺めている。
木造で今にもドアノブが取れてしまいそうな古臭いドア、それでいて何か異質な空気を漂わせている。
「なんだこれ、どこ○もドアじゃねーかよ 」
「はははっ! こんな古い作りじゃーねぇだろ 」
「これ異世界とかと繋がってねぇかなぁ」
「ねぇってそんなこと! 帰ろうぜ早く! 」
「……あ、ああ! 」
人生一度は考えそうな異世界の話をしながら、2人の高校生はゴミ捨て場を後にした。
古いドアの向こう側にて───
「……なんだ、ここ? 」
確か俺は大学帰り、ゴミ捨て場にあった古臭いドアを遊び半分でくぐったんだったかな。
そこまでは覚えているが、ここがどこかさっぱりだ。
とにかくここは変な場所だ。
四方八方真っ白、どこまでが奥なのかも分からないくらいの奥行で物一つない空間。
「異世界への入口へようこそ 」
なんだ、声が聞こえるぞ。
「こちらですよ、
どこだ? それに俺の名前まで知ってるとはどういうことだ?
「だからこっちですよ、上上! 」
上?
言われるとおり上を向いてみる。
「うわぁっ!びっくりした!! その姿天使……?? 」
俺が目を向けた方には天使の翼に白いワンピースを着ている女性がいた。
しかも現実世界では見たことない程の絶世の美女。
さらには特徴的な金髪ツインテール巨乳ときた。
「私は異世界への案内人〈メリュシーナ〉でございます 」
まさに異世界の女性!という名前だ。
「……あ、あの異世界ってのは? 」
「少し混乱してるみたいですね、あの古いドアをくぐったでしょ? その時点で、あなたはこちらの住民なのです 」
「……え、元の世界に戻れないの? 」
「ええ、申し訳ないですが 」
天使の美女は淡々と答えてくる。
全く表情を変えない。
異世界というのはこれが当たり前なのだろうか。
こんな美人なのにもったいない。
というか戻れないのはキツイって。
俺は別に異世界転生の希望なんてないし、なんなら現実世界で楽しく過ごしているのだ。
親友だって彼女だっている。
なのに異世界転生ってそりゃないぜ。
「……これはあまり望まれていない転生のようですね 」
天使さん少し困った表情になった。
表情が少し変わるだけで可愛さが溢れてくる。
もう少し色んな表情を見てみたいものだ。
「もしかして帰れる感じですか? 」
「いえ、それは難しいのですが、今回は異例の転生になりますので、一応特典がございます 」
異例の転生?
特典?
気になる用語が多い。
「それはどういう意味ですか? 」
「この世界へ転生される方は生涯過ごして生まれ変わる際にこちらへ来られます。 異例と言ったのは風早様がまだこちらへくる予定ではなかったためです 」
なるほど。
漫画やアニメと同じで、転生とは普通死んだ後ってことか。
「あと、特典ってのは? 」
これは1番気になるところだが、もしかして予定になかった転生だからチート能力を授かる的なものか?
「特典というのはですね、あなたが今世、歩んでいく人生の出来事を事前に選択することができます 」
おっ?
これは起こる出来事が事前に分かるタイプのチート能力じゃありませんかぁぁぁぁっ!
俺は現実世界に満足していた。
が、しかしこうなると話は別だ。
前もってアドバンテージが約束されている来世……いや、もうすでに今世か。
それなら転生する価値もあるってもんだ。
「表情から察するに、ご満足頂けているようですので次に選択する項目を表示していきます 」
俺そんなに表情出てたのか。
あ、確かにニヤけが止まらない。
案内人メリュシーナが俺の方へ手をかざしてきたと同時に、目の前の空間に電子的な文字が浮かんできた。
どうなってる。
何も無いところに文字が現れたけど。
なんだか、VRMMOでいうステータス画面みたいだな。
・選択項目
《戦闘力と職業、ユニークスキル有無》
《ヒロインの有無及びヒロインの選択》
《人生の分岐点選択》
えっと……なになに?
おおっ!これぞチート主人公って感じの選択肢だな。
もしかして、かの有名なチート主人公達は転生前にこのような行事があったのだろうか?
「各項目をタップして進んでくださいね 」
俺はメリュシーナの指示に従って選択してみる。
順に上から選んでいくか。
《職業、戦闘力、ユニークスキルの有無》
ピロリロリン───
なんか古そうな効果音がなったが、気にしない。
《職業一覧》
・剣士
・魔道士
・武闘家
・治癒術士
・魔法剣士
・盗賊
・魔族
・勇者
・魔王
おおお、俺が思っていような職業じゃないか!
テンションあがるぜぇ……って勇者と魔王もあるぞ。
そりゃもちろんチートなんだから勇者を選んでっと……。
あれ、勇者と魔王の欄に注意書きがある?
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最新作のご愛読ありがとうございます🥺
残り2話もお楽しみください!
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