日の出 ブロッサム・コンバット
「なんだ元気そうだな。」
公園の噴水にクリスは座っていた。
長い間待っていたのか地面には吸い殻が何本も落ちてある。
「ねぇ、クリス。振られちゃった。」
「そうだな。」
「初めて会った時、この姿を見て笑わないでくれたの。」
「そうか。」
魔法使いは自由に姿を変化することができる。なので魔法を常に発動できるような熟練者になると自身の体を趣味にあった見た目に変える。
「私ね、頑張ったの。先輩に覚えていられるように。」
「そうだったな。」
「だけど、やっぱり無理だった。」
「ああ。」
「だけどあの先輩が弟子をとったと聞いた時嫌な予感がしたの。」
「泣くなら声をあげろ。」
「え?」
私は気付かぬうちに目から水が流れていた。
クリスはコートのポケットからハンカチを渡した。
「ほらよ。」
「...クリスの癖に可愛いの持ってんじゃないよ。」
「それは娘のだ。」
「こそっと覗いてみたの。そしたら先輩はすっごく笑顔だった。私が見たことないくらいに。」
「嫉妬したのか。」
「そうよ。」
「先輩は許してくれたのか。」
「あったりまえじゃない。先輩は優しいのよ。優しくて、」
『ごめんな。お前の気持ちには応えられない。これからも先輩後輩の関係でいいかな。』
『ん?あーそうだよ。私は弟子のことをずっと守って、愛して、生きていくよ。この場合の愛しては保護者としての気持ちな。誤解すんなよ。』
『弟子には内緒な。』
「最後には頭を撫でてくれる優しい人なのよ。」
私は声をあげて思いっきり、人目を気にせず泣いた。
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