第15話 台所とテレビは何が映るか

「さて、ビャクヤが風呂入ってる間に飯作るか」

「お!今日は何ですかい!?」

「今日は…そうだな。時間も時間だし、早いのがい

 いな。」

「カレーとか」

「カレー前食ったろ。…今日は麺類だ。」

そう言って台所に向かう。

元宿屋の名残りで台所というより、厨房だが。

「んじゃ、できたら呼んでねー」

「手伝わんかい」

「知ってるでしょー?私が料理するとコズミックが

 できるって」

そう、以前フルーツポンチの白玉を作ろうとして、何故かアク◯ズのような何かが出来た事があったのである。

「じゃあテレビ見てろ」

「うーい」

澪はリモコンを手に取りテレビをつける。

どうやらエンタメ番組だったようで、時々観客なのか合成なのか分からない笑い声が聞こえていた。

それはそうとて、深い鍋に湯を沸かし、そこにパスタを2人分茹でる。

卵、粉チーズを混ぜ合わせ、ベーコンを等間隔で切る。パスタを1、2分早く湯から出し、あるものも準備しておく。ベーコンをバターと炒め、牛乳と卵と粉チーズを混ぜ合わせたものを入れ、麺にからませる。

「出来たぞ。」

「おー!」

食卓に大皿に盛ったカルボナーラを置き、保温のために蓋を被せる。

「あのさ」

「なんだ」

澪がテレビの音量を15から18上げる。

「どーおもう?あの子」

「特別な家庭かどうかはさておき、普通では無い

 な。なにか、特殊な体質持ちか知らんが。」

澪がぐっ、と体を伸ばし、ソファにもたれかかる。

「そーなんだよね~なーんか、引っかかるという

 か、なんというか…」 

「…とりあえず、ビャクヤの事は追々探るしか無

 い。今日来たばかりの人間が、ベラベラ自分の過  

 去体験なぞ話さんしな」

「んー…なーんか…なーんか…引っかかる…」

「おい澪聞いてるのK」

「そうだ!ズレ!ズレてんだよ!」

澪が若干大声で指パッチンをならす。

「ズレてるのはお前だ馬鹿野郎」

「いやね?なんか、こう、あの子の周りが少しだけ  

 ね?ズレて見えるのさ」

「どういうことだ」

「それは…」

風呂にいた気配が移動する。恐らく、ビャクヤが風呂から上がったのだろう。

「あちゃー上がっちゃったかぁ…」

「これから、少し探りを入れて生活するしか無い

 な。」






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