ケードロ・ゲーム
紺崎濃霧
Chapter 1-ゲームの始まり
1.冤罪
「今日も何も無かったなー。」
僕は
紺一色のジャージと黒いリュックサックが秋の太陽に照らされている。
「何か面白いことは無いもんかなー。」
そんなことを考えながら、ただ足を動かす。点々とある街路樹は秋色に染まりつつあった。だがそんなことは思っても見ない。
「帰ったら適当に宿題か。」
頭は悪くない。なんなら良いほうだと思っている。(過信)
現在、帰宅部に入部中。小技が得意な二番打者である。(?)
そんな僕に、突然として降り掛かってきた、摩訶不思議だけど非現実的とも言えるような面白いお話。
「こんにちは。ちょっといいかな?」
「はい、なんですか?」
後ろから警察の人が話しかけてきた。彼は手帳らしきものを手に取り、僕に見せてきた。
「これに見覚えはない?」
「いいえ、まったく。」
見せてきたのは、ただのスナック菓子二つ。今一番売れている物だ。
「そうか。君は嘘が上手だねぇ。」
警察官は諭すように言ってきた。僕は疑問の表情を浮かべた。
「嘘ではありませんが。」
スナック菓子二つは食べたことがある。とても美味しいと評判だったが、僕には向いていなかった。食感がもう少し「パリッ」としてくれれば百点満点のしっとり系だった。
「実はね、君には万引きの疑いがあるんだ。」
警察官は急に表情を怖くした。
「はぁ?」
僕は妥当な返事をした。
「しらばっくれないでいいんだよ。君はコンビニでこれらを万引きしたの。」
ゆっくり性格悪く言ってきた。
「してませんけど、人違いでは無いですか?」
僕は軽く警察官を睨んでみた。けれども効いてはいない模様。
「証拠は十分にあるんだ。もう自白したらどうだい?」
「証拠の提示を要求します。」
僕は強く言った。警察官は、良いだろう、と言っていそうな目と顔で、白い手袋をはめた。
「君が万引きしたのはついさっきなんだよ。コンビニ内はもちろん、街中の監視カメラを何回観ても君が万引きしたとしか思えない行動を取っている。」
僕は聞かされた。感想は、
「はぁっ?」
何もしとらん言うたやろがい!と言っても、何も聞いてもらえないんだろうなと感じて僕は黙りこくる。
「まだ欲しいって言うならあるよ。」
警察官は言った。ここまでただの濡れ衣。でっちあげともとれるような内容だったからな。
太陽が雲に隠れ、辺りは静けさを増す。
「君のバッグの中さ。」
警察官が指を指すと同時に、風がかなり強く吹いた。街路樹が揺れに揺れる。
「二つの、パッケージ!?」
目を大きく開けた。三回はこすった。
「何……で……?」
何が起こったのかよく分からなかった。さっきまで筆箱一つだけだったはずのリュックサックの中には、二つのスナック菓子があった。
「西田和也、15時 45分、万引きによる窃盗罪で逮捕します。」
警察官は強引に僕の手を掴み、銀色に輝く手錠をかけた。
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