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ライブはすぐあった。売れっ子というだけある。

あさきは月1程度で四苦八苦しているというのに。


今日はちょっと高級感のあるバーで、ビールが4桁する。

こういうところはあまり来ない。というか全然来ない。

だから少し居心地が悪い。

とにかく早く行ってピアノの前の席を陣取ろうと思った。

攻撃あるのみ。

1時間前に行ったらちょうどお店を開けるところだった。

品のいいマスターらしきがドアを開けている。

入れますかと聞いたらどうぞと案内された。

グランドピアノの真ん前の席に着く。

まずは1ポイント獲得。


当然だがメンバーは居ない。

いつぐらいに来るのだろうか。

話すチャンスはあるだろうか。

4桁ビールをちびちび飲みながら待った。

しばらくしてがやがやと3人が入ってきた。

客ではない。メンバーだ。

今日は黒いドレスのような服を着ていてこれまたゴージャスでそそられた。

あとの二人はかなりの年配で彼女の笑いを取ろうとして漫才みたいな会話をしている。

これでは話しかけられないぞ。


彼女が俺に気が付いた。

「あ、ほんとに来た。」

俺は笑顔を返した。どんな女もいちころの笑顔だ。

いやおかしいぞあまり効き目がない。

ビールをちびちび飲みすぎたか。

しみったれた笑顔に見えたかもしれない。

ぐっと飲み干した。

彼女はまた漫才の方に気を取られている。


何かエース級の一言を言わなければならない。

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