第13話 敵拠点襲撃
「あの洞窟が」
「本当にただの洞窟にしか見えませんね主様」
アルファとベータが囁き声で声を発する。
「あぁ、見た目は完全に自然に出来た洞窟の入り口だ。
だけれど、確かに我が家に訪れた上級騎士がこの場所に入ったのは確認済みだよ。
まずは、内部構造を把握するから少し待ってて」
そう言って私は極細にした魔力の糸を洞窟へと伸ばしていった。
そして、洞窟の内部構造を調べつつ、人員がどれ程配置されているのかを丹念に調べていく。
調べた結果、洞窟の大きさはそれ程でも無く、人員もそう多くは無かった。
これぐらいならば、私達五人でも問題なく対処できるだろうと判断する。
「よし、内部構造の把握と人員がどれ程いるかは把握した。
一端距離を取って作戦会議としよう」
「まず、内部構造はこんな感じだ」
そう言いながら私は魔力の糸を使用して内部構造のフレームモデルを作り出す。
「そして、調べた時点での人員配置はこの様な感じ。
これは、時間経過と共に変っていくだろうから参考程度に。
漏れが無い限り、今ここにいる五人で十分対処可能な拠点と言えるだろう。
なので今日この場で、この拠点を抑えてしまおうと思う」
「解ったわ」
アルファが相槌を打つ。
「それで作戦なのだが、班を二つに分けて行動を行う。
先ず第一班は洞窟内に潜入して敵を殲滅する班。
正し全員を殺すのでは無く、情報を抜き出すために最低でも一人、出来れば今回我が家を訪れたアプシャウム上級騎士とやらの確保をしたい。
そして第二班は出入り口にて待機して、敵の逃亡を防ぐ役割を担って貰う。
ここまでで質問は?」
沈黙が続く。
「よし、では人員配置なのだが。
第一班、洞窟内に進入するのは私とデルタ。
第二班、洞窟出入り口にて敵の逃亡を防ぐのはアルファとベータとガンマ。
この構成で行こうと思う。
ベータとガンマは初の騎士との戦いだから無理をせずに安全第一に、アルファはフォローをよろしく。
そしてデルタ、私が確保したい相手以外は容赦なく殺してしまって良いからね」
「えぇ、任せて頂戴」
「解ったご主人様」
「では、作戦開始だ」
魔力による肉体強化を行い一気に洞窟の入り口に接近する。
それに続く四人の少女達。
洞窟の出入り口に到達すると、アルファとベータとガンマはそこで待機した。
私とデルタはそのまま洞窟内部へと疾駆する。
そして始まるのはデルタによる圧倒的な暴力。
次から次に屠られていく聖堂騎士団の団員達。
順調に洞窟の奥へと進むとそこにはアプシャウム上級騎士が居た。
「お前の様な子供が何の様だ。
ここがどんな場所か知っての狼藉か?」
今私達は身元が割れない様に仮面を被りローブを羽織っているため、ちゃんと調べなければ身元がばれることはないだろう。
ま、そもそもの問題として、私は兎も角デルタは部族から捨てられた身の上、身元がばれたとしても特に問題は無い。
私にしたところで、ここでアプシャウム上級騎士を逃すつもりも無いから特に問題は無い。
「貴方には色々と話して貰いますよ、アプシャウム上級騎士殿」
「お前、私の名前を…」
「デルタ、私はこの男を尋問するから、他に騎士が居ないかどうか見て来て」
「解った、ご主人様」
「さて、アプシャウム上級騎士殿、楽しい楽しい時間の始まりですよ」
魔力の糸で雁字搦めにしたアプシャウム上級騎士の身体を末端から少しづつ削っていきながら様々な質問をしていく。
「ご主人様、洞窟内の掃討終わりましたです」
「解った、アルファを呼んで洞窟内を捜索して、何か有用な情報が無いかどうか探して貰って。
ベータとガンマは引き続き洞窟の出入り口で警戒を続けて貰って」
「解った、ご主人様」
ガンマが私の元を訪れそして離れていく。
そうして残されたのは、達磨にされ四肢から盛大に地を流しながらも、禄に情報を漏らさなかったアプシャウム上級騎士の死に体の肉体だけであった。
「ふ…、幾ら貴様が強かろうと、我が組織の事をそう簡単に語ると思うなよ」
「それは残念です」
そうして、次の瞬間私はアプシャウム上級騎士の首を魔力の糸で括り落とした。
「アルファ、そちらは何かめぼしい物を見つけられたかい?」
「えぇ、色々と見つけられたわよ。
これを見て頂戴」
「これは…」
「私達の輸送計画書よ。
これに寄れば、私達は王都にある拠点に連れて行かれる事になっていた様ね」
「ふむ、他の計画書はあるかい?」
「それが見つからないのよね。
恐らくだけど、私達が最近活動した所為で、この男爵領を通るルートを使用しての計画を取らなくなったと思うの」
「なる程、そう考えるのが自然か。
であれば、領地外に赴いて活動する必要性が出てくるか…
今の状態では、中々に難しいものがあるな」
「えぇそうね」
「持って行ける資料は持てるだけ持って、一度いつもの場所に戻ろう」
「解ったわ」
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