第7話 天才との鍛錬
昼は男爵家の嫡男として無難に過ごし、夜はアルファとの鍛錬を行う二重生活を送る事しばし。
私はアルファの類い希なる才能に舌を巻いていた。
私は彼女と今後一緒に活動するに辺りまずは徹底した肉体作りから始める事にした。
今まで私が行っていた魔力による肉体改造術を教えた。
正直なところ、腐肉病を患っていた彼女にこれを教える事は大変にリスクを伴うことだったのかも知れない。
だが、アルファはこれを見事に自分のものとして会得する事が出来る様になり、私と同じように肉体改造を行える様になった。
とはいえ、今後も何か不備が無いかどうか観察は欠かさない様にしないといけない。
また腐肉病が発症しないとも限らないのだから。
そして肉体改造の目処がある程度終わると実戦を想定した武術の鍛錬だ。
これに関してもアルファはスポンジに水を染み込ませるが如く吸収していった。
私は事ここにいたり彼女の天才性を理解した。
それからは、彼女にありったけの技術を教え込む事にしたのだった。
私が元居た世界で習った武術・武道をこの世界で振るえる様にしたものを中心にした技能や、この世界で生き抜いていく為の様々な知識等をだ。
彼女は武芸だけで無くそれら知識すらも貪欲に吸収していった。
そして半年も経つ頃には私とアルファは肩を並べて活動しても問題ない程の連携を身に着けていたのだった。
「貴方のお陰でここまでの力を手に入れることが出来たわ。
そろそろ本格的に活動を始めてみないかしら?」
「そうだね。
とはいえ、今はまだたった二人。
まずは一緒に活動してくれる仲間を集めるところから始めないといけないね」
「そうね。
それに関しては考えがあるの」
「ほう?
どんな案かな」
「私と同様に腐肉病となってしまった者を貴方が癒やして仲間に引き入れるというやり方よ」
「うむ。
情に訴える様なやり方で気が進まないところがあるけれども、離反者が出にくそうなやり方ではあるか」
「そうでしょう?
貴方は貴族としての活動もあるし、情報収集は任せて貰えるかしら?」
「う~む、今のアルファなら単独行動も大丈夫だと思うけれども、安全第一に考えて行動してね」
「えー、解っているわ。
今はたった二人しか居ないのだもの。
貴重な戦力を失うわけにはいかないものね」
「もうちょっと自分のことを大事にした方が良いと思うよ?」
「あら?それを貴方が言うのかしら。
あんな危険な鍛錬方法を教えておいて」
「耳が痛いね~」
「ふふ、冗談よ。
じゃ、当面の間私は情報収集に専念するわ。
貴方は今まで通り力を高めておいて」
「解ったよ」
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