第12話:澪と猫屋敷。

桃が部屋にしても澪は平気で遊びにやってきていた。

ライバル同士のくせに台所でいっしょに飯を作ったりしてはしゃいでる・・・

変な関係。


で、ある日、澪から猫屋敷のことを聞かれた。


「ね、大ちゃん・・・最近よく、あの人に会うんだけど・・・」

「あの人友達でしょ?」


「ああ・・・猫のことか?」


「ねこ?」


「俺が世話になってる出版社のダチ・・・猫屋敷ってやつだよ」


「なに?あいつのことが気になるのか?」


「あの人、もしかして桃ちゃん目当て?」


「桃ちゃんがその、大ちゃんの彼女って知ってて来てるの?」

「私も彼女だけどね・・・」


「つうか、今は澪目当てじゃないか?」

「え?私?」


「あいつ澪のことがタイプだって言ってたぞ」


「え?そうなの?私もあの人、なにげにタイプなんだけど・・・」


「まじで?」


「タイプ?・・・あいつが・・・澪の?・・・」


「アタックしちゃおうかな」


「え〜あんなやつのどこがいいんだよ・・・趣味悪いぞ」


「俺と全然違うタイプだと思うけど・・・」


「いいの・・・それにね」

「私たちの関係・・・このまま三角関係いつまでも続けててもね・・・」

「桃ちゃんは大ちゃんを、あきらめそうにないし」


「このさい、猫屋敷さんに乗り換えようかな」

「本当のこと言うと、桃ちゃんの手前で意地はってたけど」

「争ってるのが正直めんどくさくて・・・」


「大ちゃんとも長い付き合いだからね・・・このへんでいいかななんて思って」


「俺と別れて猫に乗り換えようって?」


「って、言ったらどうする?」


「澪の好きにすればいいだろ・・・」


「引きとめてくれないの?」

「俺より、あいつのほうが金は持ってるしな・・・ポルシェになんか乗ってるし」


「それ、まじ・・・本当?」


「それに、あいつ将来は経営コンサルタントになるんじゃないか?」


「なにそれ?」


「会社の経営や業務についてアドバイスする仕事だろ?」

「大手企業の顧問にでもなったら定期的に仕事があるから儲けはいい

んじゃないか?」

「普通のサラリーマンよりは稼ぎはいいと思うぞ」


「へ~・・・そうなんだ・・・」

「私が猫屋敷さんに乗り換えても大ちゃんはヤキモチとか焼かないの?」


「俺って意外と冷めてるから・・・」


「それに澪を束縛したりはしないよ」


澪が猫に行ってくれたら桃と大手を振って一緒にいられる・・・。

たぶんその時、澪も打算的になってたと思う。

猫が金持ち・・・将来、経営コンサルタントに関しては適当なこと言ったけど、

澪も俺といるより猫といれば経済的に安心だろう。


その後、澪は猫屋敷にアタックしたらしい。

以外とこれが、うまくことが運んだようで猫にとっては青天の霹靂に

違いなかった。


そりゃ猫からしたら棚ぼただよな。

澪みたいないい女から「付き合って」って言われたら大概の男なら

「ごめんなさい」とは言わないだろう。


そう言うわけで、フェードアウト的に俺と澪は揉めることなく終わった。


猫屋敷は澪できてから俺のマンションに、ぱったり来なくなった。

俺はと言えば桃との甘くて楽しい日々を続けていた。


それは自然の成り行きだった。

その晩、俺は桃と結ばれた。


桃は順調よく自分の目的を着実に達成してるわけで、過去のおいて

彼氏を作るって目的を半分以上満たしていた。

あとは結婚だけか?


それにしても俺の時代には桃は存在しないんから、正式な結婚は無理だろう。

まあそんな書類だけの関係なんて意味ないけどな。

そして子供を作る・・・しかも目的は男の子。

でも女の子しか生まれない場合だってある・・・そうなると男の子が

生まれるまで作り続けるのか?


いやもしかしたら妊娠しないってこともありえる訳でって、取り留めの

ないことを考えてる俺。

まあ先のことをあれこれ心配しても始まらないんだが・・・。


振り返って考えてみたら、俺と桃の間にミカンの存在は大きかったかもしれない。

ミカンと暮らしてる間に俺の動物アレルギーは気付かないうちに解消されて

いたみたいだった。

環境になれるってことなんだろう。

ミカンが嫌な存在じゃなくなってより一層桃と近づくことができた気がする。


猫屋敷が澪とできたことで、別荘でパーティーを開くからって俺と桃は

猫から招待された。

だから俺は桃を連れて、猫屋敷の別荘に遊びにでかけた。


猫屋敷が別荘を持ってたなんて初耳。

まじで金持ちだったんだ・・・それなら澪の満足だろう。


とぅ〜び〜こんて乳。

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