第10話 作戦会議

  


「蘭ちゃんばっかり、なんで変な先生にあたるんだろうね……」


 そして、母は困ったと首を捻りしばらく考えた後、何か思いついたのかニヤッとした。


「明日、お母さんが引田先生に電話しておくよ」

「はあ? そんなことされたら困るよ」


 私は焦る。ことが大きくなると負担が増えて大変なことになるかも知れない。


「いいや、電話するよ」

「何て言うの? ひどいこと言って子供を困らすなって?」

「ううん、違うわよ『うちの子、家でも最近元気がなくて……。何かクラスのことや友達関係ですごく頭を悩ませてるみたいで……。何かありました?』って感じで」


 なんだこの演技力?

 母上、女優か??


「それを聞いた先生は、思い当たることあるあるだよね。蘭は先生に、悩みごとはないかって呼び出されたら、しょぼんとして『大丈夫です。がんばります……』って言えばいいよ」


「あ、そういうこと? 私も問題児になればいいってことか」


 なるほど、合点がいった私は母に電話を依頼する。


「その作戦でお願いします!」


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