安心安全という罠を振りほどけ!
お前に人生のレール敷いてもらわなくていいわ
「なんだ、おいおいルシファーもしつこいなぁー、何重に世界重ねてるんだ」
向こうからミハエルの声がする。さゆはもっちそっちの方を向いてミハエルに挨拶する。
「おっはー、おハロー! ルシファーも”もっさい”よね! 天丼かよー」
「ほいほいおハロー幻覚じゃあないねさゆも」
「息子さんもね」
「ああ、冬華も陽夏も無事」
「ようやく仮想世界崩れたと思ったらナニコレ?」
セーラー服冬華が呆れっぷりを隠さず吐き捨てる
「これ、わたし漫画で呼んだことあります。わたしここからの流れ分かります」
学生服の陽夏がそんなことを言い始める。
「じゃあ教えて」
「は、はい! えっと――」
陽夏が冬華に伝え始める。
「あれ、サリサは……」
「サリサを事を気にした冬華をミハエルが引っ張る」
「しーっ! 忘れたフリで」
「…………(こくっ)」
しーっ、のサインを見てサリサのとこは忘れたフリをする。そして陽夏の説明に耳を傾ける。
「おぉ、よく来てくれた! では説明を始めるぞ!
君たちは、わが国のピンチに駆けつけてくれた勇者である!」
王様らしき人物はオーブの前で両手を広げ、調子を上げていく。
「さあ、ここにあるオーブに触ってくれ!
このオーブは安心安全だ!
しかしこのオーブの力を借りないと諸君は命の危険が発生しますぞ!
そして王城より外は疫病が蔓延しております。それもオーブを触りさえすれば免疫がつきますぞぉぉぉぉ!
オーブを使わないなんて奴は頭おかしいレベルで社会から排除されますぞぉぉぉぉ!
そうすれば君らに最強のスキルが」
「ちょっとまてぇぇぇぇい! それは素で触ったら宇宙が崩壊するオーブだぁぁぁ! 何かに乗って、乗り物に触らせるという作戦を取らないと危険すぎるぞぉー!」
さゆがいきなりそんなことを叫ぶ
ドカァァァァアアァァアアン!
「あ、この展開は漫画になかったです。事実は漫画より奇ですね」
陽夏がそう呟く。その視線の先にはマグロ。
「あの、あの、ごめんなさい。これわたしにマグロに乗れって事ですか? あのすいませんこのスカートでは防御しきれないんですが……」
「あんたの面白くないパンツなんかより奇抜な乗り物に皆目が行くから大丈夫よ。ホラ、あのイタ車とかすごいじゃん」
「そんな、そんなこと言われてもフォローになってないですよー、さゆさぁ~ん!
ていうか面白くもないパンツってひどくありません!?」
と陽夏が悲鳴を上げる。
「やかんにタイヤをつけた物に乗るぞ! このやかんでさわる! どうだ! この、やかんの口にくっいてるサッカーボールがチャームポイントだ」
と言い張るミハエルが現れた。
(本当黙ってればイケメンなのに……)
突っ込む気力すらでず、そう愚痴る水鏡冬華。
「貴様ぁ! そんなものでだとぉ! なら我らはイタ車(板前の超特大まな板+テーブル+椅子+ティー+お菓子+タイヤ)だ」
王がノッてきた。ミハエルは計算通りだと呟いた。
「こういうときはペースを上書きして奴らの思い通りにさせなければいい。
少なくとも奴らのペースはがた落ちだ。
そして魔導AIBOTか人間か分からないが本来決まりきった事しか言わない王様、NPCっぽい野郎もこっちに乗せる事が出来た。ほらイタ車に家族全員で乗り込んでいる」
水鏡冬華は呆れ顔しかミハエルに向ける事しかできなかった。
桜雪さゆは子どものようにはしゃいでいた。
「お前に人生のレール敷いてもらわなくていいわ。
これはその態度の表れと思ってくれ。
変なオーブや神の啓示(と称した生き方の押し付け)や押し付けられたデスティニーなんざ来たら、おやかんポッポーだぜ!」
レールといえば、と水鏡冬華。
(いつの間に)
王城が拡張されてコースができていた。
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