第45話 鈴との思い出②

『出会って最初の頃は、この公園の入り口でお喋りしていたな。よくそこで話をしていたから、通り過ぎる人達に目立っちゃうねってなって、このブランコに座って話すようになったんだっけ。でも、そのうちにそのブランコも小さい子達の遊び場だから、邪魔しちゃうねってなって、ひたすら公園の歩道を何周も歩いた時もあったな。毎日毎日歩いてたら、お互いなんか疲れてきて、いい運動になるけど、これはいまいちだねってなって、そんな時に雨が降ってきて、たまたまケヤキの木の下に避難して、そこで話すようになったんだったな。遊具とかともちょっと離れてて、あんまり目立たなくていいねって。それからここが2人の定位置になって、毎日ここで過ごすようになったんだったな。そういえば、あの未練仏になった男の子はどうしたんだろう‥‥』

鈴との思い出のケヤキの木の下へ行きたいが、先日見かけた未練仏の男の子が気になってしまい、そこへ行くことに躊躇してしまった。

『思い出に浸りたいが、あの子がいたらどう思われるかわからないし、俺自身も気になってしまうし‥‥とりあえずその場所には行きたいから、通り過ぎて様子をみてみよう』

もしかしたら、あの男の子は強制成仏されてるかもしれない。そしたらゆっくり思い出に浸ることができるかもしれない。そう思い、翔はケヤキの木の下へと向かった。

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