第11話 御堂機、交戦
新型機の手強さを、フォボスとディモスは知っている。だからこそ、その二機は、暗号化した信号弾で連携を取りながら、マルス機の合流を待つはずだった。
しかし、時間制限が付いたことで作戦は自壊していた。
御堂にはフォボス機とディモス機が交わす暗号を読めない。しかし、二機の統制されていない連携は全く脅威ではなかった。
(私設の傭兵部隊の訓練レベルは、この程度ね)
左右もしくは前後から挟撃するだけ単純な動きだし、時間が過ぎるほど二機の連携は噛み合わなくなってゆく。
リーダー不在で統制が取れず、いつの間にか二人の手柄争いが始まっていた。
右前方にフォボス機、右後方にディモス機が陣取ってGS4を挟撃。
御堂には右前方の機体が、先の戦闘でロングソードを切り落とした機体だとわかっていた。
右足を引き、
右後方のディモス機との距離は、ロングソードの間合いより長い。この瞬間は、背後に隙を見せても大丈夫だ。
御堂機の右脚部から砂塵が舞い上がる。
踏み出した右脚の勢いに乗って、車輪のように
打ち込んで来る敵との間合いを計り、脇構えから横一文字に斬り裂く・・・御堂が一番得意とする戦い方だった。
鋭い斬撃は、腰部の外装甲を斬り裂いて
・・・カン・・・カン・・・。
冷却音を不規則に響かせながら、フォボス機はゆっくりと倒れた。
「まず一つ!」
フォボス機の停止を確認し、御堂は残る一機に気持ちを集中する。後方のディモス機に、GS4の機械眼球が焦点を合わせる。
ディモスには、自分の方へ向き直ったGS4の右眸が輝いたように見えた。
A級ペルセウスのコクピットで、マルスはフォボス機が撃破されるのを黙った見ているしかなかった。残ったディモス一人では、あの新型機には勝てない。
「コイツを振り払って、オレが戦うしかねえってのに!この野郎!」
マルスは、A級機体のコクピットで絶叫していた。
マルス機の右腕とロングソードは、入鹿機に絡め取られている。自由に動かせる左腕で、副武装の小型
小型
それでも、右腕を掴んで離さない入鹿機の左腕を集中的に叩き続けている。
「さあて、どこまで保つか?」
入鹿の方も、何時になく神経質になっていた。
致命傷ではなくても、
通常なら流し見しているだけのサブモニターの警告を、今は神経をすり減らす思いで注視していた。
ゴォオーン!
ジークフリードの、大きく張り出す特徴的な肩部装甲が地面に落ちた。
「しめた!」
マルスの顔に光明が差す。
入鹿機の左肩関節を破壊するつもりで、マルス機は
ガツン!
だが同じタイミングで入鹿機の右手も、ロングソードを手放した。
ジークフリード型の機体にも、ペルセウス型と同様に副武装は装備されている。張り出した肩部装甲には、ナイフ型の暗器が隠されている。
入鹿機の右手は、地面に落ちた肩部装甲から暗器を取り出していた。
ゴォォォーン!
左
だが、マルス機の右膝からも火花が散っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます