五
「でーすーめぇーたーるーさぁぁあん!」
「なぁーあーにぃー」
「いや、悠長に返事してないで、みんなこのまま落ちたらあの世行きなんですけど!」
「えー? まだ翼で飛べないとわぁ、ぷぷっ」
「ぷぷって、貴女も飛べてませんからね? 落下してますからね?」
まじ、真顔で反論したイオンである。
つか、じいちゃんばあちゃん「「「「「うひょぉぉいっ、自由じゃいぇぁぁあ!!」」」」」とか叫び始めてるけど、さては現実逃避だな?
横では、スカートひらひら恥ずかしいわあ、きゃっとか、またカツラ外れて一緒に落下スピード上げる約一名がいたりするし。
「しかたないなぁ、まあ、見習い天使みたいなもんですからねぇ」
なんてデスメタルがめんどくさげに、懐から、あれを引っこ抜いた。
「じゃー、ま。さきにこれで、一回逝っとく?」
わあ。
聴いちゃった。
マンドラゴラって、歌うんだね。
あはは。
……。
…………。
えっ? そんな歌聴いて平気かって?
もちろん、逝ったよ。逝ったとも。
天国の門くぐったよ、お花畑だよ、川がサラサラ綺麗だよじゃねぇえわ。
はっと気づいたら死んでるとかある??
周りにいた天使やら神様みんなが、すまなそうに菓子折りくれたんだけどね?
あの子のマンドラゴラには、気をつけなされって、忠告遅いわ。
……はい?
いやいや、はやく、引き返さないと帰れないよー。なんて、笑いながら言われても困るんだけどね!?
あっ、ちょっと、亡者の列にじいちゃんばあちゃん参戦してんじゃん!
だめだから、並ばな……え? こんなに行列のできる屋台は天に昇るほどうまいんだろうって、向かう先よく見よう? 棺桶だからね、うまさ感じる前に、ほんっとの意味で昇天だからね?
……なんか、ちょっとうまいこと言ったみたいな、ニヤついてるメテオじいさんのドヤ顔イラっとするな。
いや、和気藹々してるそっちの列ー! ハイストップー。
「あら色白、別嬪さんだねぇっ」って言って和気藹々してないでよく見て? その人骨だから骸骨だからね、真っ白だからね?
いやいやいや、おててつないでいくのアウトだからぁぁあ。
そっち、らんらん歌わないでぇえ。
★★★
「落ちてきたら、うけとめる! はい! 落ちてきたら、うけとめる! はい!」
「や、あのー、そこの女子ー。ぶつかるから逃げないと「落ちてきたら、うけとめる! はい!」……いや、聞いてねぇわ。あっ」
どかどかどかぁぁあっ
天使により、死人大量発生中。またひとり、女子高生・天野コハル(十六歳)が天に召される。
おわり。
……ではない。
「まあ、これはこれで? いっか。出会いはおけー」
などと言いながら、
ひとり、ほくそ笑むのは天使である。
黒い翼はためかせ飛ぶ、天使のみ、彼彼女らのその出会いの意味を知る。
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