【黄色】【狼】【正義の小学校】

ジャンル:悲恋


 僕の通う学校は、正義の小学校と呼ばれている。校則の三本柱は正々堂々、公明正大、あと一個は何か忘れたけど、嘘や不正を許さない風潮があることがその理由だ。

 僕はある事件をきっかけに、一匹狼になった。


 *


 僕は水泳部。同じ部員で恋のライバルでもあるコウスケと、その告白権を賭けて25m自由形で勝負する。

「いいか? 勝った方がリカコに告白する。恨みっこなしだ」コウスケが僕に念押した。

「勿論だ」

 緊張からトイレに行きたくなってきたが、水をさすわけにはいかない。

 そして勝負は始まった。抜きつ抜かれつのデッドヒートの末、僕が勝負を制した。

「やられたよ、うまくいくといいな」コウスケは潔く負けを認めた。

 更衣室で着替えている時に、その事件は起きた。ある部員が僕の水着からのぞく白の裏地をみて声を上げたのだ。

「何でお前の裏地黄色くなっているんだよ!」

「そ、それは、……」

 正直に言うしかなかった。正義の小学校だからだ。

 それ以来、僕は一匹狼だ。誰も相手にしてくれない。リカコもその話を聞いてドン引きだ。

 結局、コウスケとリカコが付き合うことになった。

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