スタートアップ・ドリーム
青木タンジ
第1話 スタートアップ・ドリーム」の始まり
東京の喧騒を抜け、高層ビルが立ち並ぶビジネス街に足を踏み入れた瞬間、美咲は深く息を吸い込んだ。ここが、彼女の新たな舞台だ。まだ大学生という肩書きを捨て去ったばかりの彼女は、一つの大胆な決断を胸に秘めていた。自らのスタートアップを立ち上げること。それはただの夢ではなく、彼女にとっての使命だった。
彼女は歩を進めながら、少し緊張を感じていた。周りはスーツ姿のビジネスマンや、急ぎ足のOLたちで溢れている。彼らの中には、今日がまたただの一日であるかのような様子だったが、美咲にとっては全てが新鮮で、全てが挑戦だった。
小さなカフェに入り、コーヒーを注文すると、彼女は窓際の席に座り、ノートパソコンを開いた。画面に映し出されるのは、彼女がこれまでに練り上げてきたアプリのプロトタイプ。今日はそれを潜在的な投資家に披露する大切な日だ。
「大丈夫、私にはできる」と自分に言い聞かせる。しかし、ふとした瞬間、彼女の心は過去へと飛んでいった。そこには、幼馴染の健太の笑顔があった。彼もまた、起業を夢見る一人だった。かつては一緒に夢を語り合った彼との、今は遠く離れた関係。彼女は健太のことを思うと、いつも複雑な感情に包まれた。
「美咲さん、コーヒーです」と店員が現実に引き戻す。彼女は深く息をつき、画面に目を戻した。今は、このスタートアップに集中する時。過去は過去。これからは自分の道を切り開いていく。だが、彼女は知らなかった。健太との再会が、もうすぐそこまで近づいていることを。
彼女はコーヒーを一口飲み、深く息を吸い込んだ。それから、画面の中のプロジェクトに向かって、もう一度深く集中を始めた。これが、彼女の「スタートアップ・ドリーム」の始まりだった。
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