昔の俺が見つめてる

兵藤晴佳

第1話

 気が付いたら、田舎に帰ってきていた。

 こんなはずじゃなかったのだが、4年前に出てきたはずのさびれた街に、俺はまた戻ってきていた。

 どのくらいさびれているかというと、長い話になる。

「これ……何スか?」

 目の前にある、二つ折りの金属盤を見下ろして、俺は目の前の偉そうなオッサンに尋ねた。

 いわゆるFラン大学を出て就職したのが、この地元だった。

 欲を言わなければ、大卒の肩書は手に入る。

 そんな軽い気持ちでスマホ片手にぶらぶら4年間過ごした。

 子どもの頃、野山や近所の畦道を思うままに駆け回ったときと同じくらい、俺は何でもできるような気になっていたのだった。

 その結果が、これだ。

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