僕は魔法が使えます。

COOLKID

第1話 魔法を使えちゃいます。

魔法。


現実には存在しないはずの、不思議な現象。

皆さんも御存知であろう。なにせこんなエンタメ沢山な世界。

ゲームとか、アニメとか、漫画とかにたくさん出てくるよね。


ほら。今僕が操作してるこのキャラクターも。


『大剣にやどりし大妖精よッ!!そなたの力…その一端を私に分け与えたまえ!さすれば、この私が…憎き暗黒を打ち破り!新たなる明日を!仲間とともに築き上げることを誓おうッ!!!』


セイクリッド!!!ジャッジメントォォォォォ!!!!!!


ドグァァァァァァァァァァァァン!!!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴ…ッ!


…はいこの通り。いや〜しかしかっこいい。さすが主人公、魔法のいい実演になりましたね。

とまぁこのように。

何の変哲もない様な日常じゃ絶対に起こり得ない超常現象。特に、科学が発展して、こんなに電子の中の人間がヌルヌル動くようになった現代社会なら、なおさらだ。

昔は、錬金術だったりとか生贄がどうのこうのとか宗教がうんたらとか…まぁ色々あって何かと不思議な力が信じられていたらしいけど。今となってはもう幻。


今は、その存在を良いように娯楽コンテンツとして使われる。


それが魔法。


『コングラッチュレーション!!』


時には、強大な相手に立ち向かい、大切な国を。人を。守り抜くための力として。

時には、その力を見せつけ、同じ生き物…特に異性に対してアピールするものとして。

時には、本来結ばれるはずのなかった二人が、思い出の丘で婚約を結ぶ。そんなロマンス劇の引き立て役として。


「ぃよし…エンドコンテンツ撃破っと」


とにかく、何をするにも。

強い!強い!!強〜い!!!

ファイアボール!アイスストーム!ばっよえ〜ん!!

おまけにスキルもつけちゃえ!!

俊足!自動回復!収納!〇〇召喚!すてーぇたす!おーっぷん!!


はい。


自分の人生を変える、当にツール。世界中の若者という若者、いやそれどころか年配だったり、果ては死んでる人間だって、魔法というものに憧れを抱いているはずだ。多分きっと。

そういうのに憧れたりしたこと、一度はあるよね〜…そうだよね?

なお、幼い頃に夢をへし折られた人は除く。


――ピリリリリリリリリリ…――

「お。誰からか?」


誰もが羨むそんな魔法。


「《ケータイこっち来い》。」


フワッ…ひゅぅぅぅぅぅん…


パシッ!


「あ、あ゛〜忘れてた…絶対どやされる…はい。もしもーし。」


そんな魔法を、僕は使えちゃいます。




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