第7話
俺は今日も一人だった。
バイトの帰り道。普段から通る川沿いの道、今日は何だかいつもより綺麗に見えた。
たまには帰るのが遅くてもいいよな。
俺は自転車を止めて、芝に座り川を眺める。川面には暗い中、電気のついた高層ビルが反射してとても綺麗に感じる。
風は程よく涼しい。
「何してんの?お前??」
「勇?いや、ただゆっくりしてるだけ」
むしろ、何故急に話しかけて来たんだ??
「そっか、」
そう言って勇は自転車を止めて俺の横に座る。
「・・・・」
「・・・」
気まずい、とにかくに気まずい。
勇とは小学生からの幼馴染だけど最近はほぼ喋ってない。
むしろ初めて話す人より話せない状況だ。
「なぁ、島」
「なに??」
「お前はさ、高校に入ってから俺たちのことを誘わなくなったじゃん」
「バイトが忙しいからな。」
「お前の事情はともかく、俺たちはお前が居なくても楽しいんだ。」
「・・・」
「あー!そうだよ!!だからお前は・・・お前は」
「??」
「もう少し自分のことも考えろよ。」
「??いや、自分のことしか考えてないけど」
「そうじゃなくてさ、」
「・・・??」
「もっと自分の娯楽の為に自分の為にさ、」
「いや、出来たらそうしてるだけで、出来ないから我慢してるだけ」
「・・・お前はいつもそうだ」
あれっ何故か怒っている?俺が自分勝手なことばかり言ったからうざかったのか??
「妹のことを優先して、友達のことを優先して、自分のことはいつもあと」
「いや、そんなことはないよ、物理的に友達は・・・今居ないし、妹は、兄としての役目と、単純に俺がシスコンだかさぁ、だから何も優先とかはしてないよ。」
「本当に分からないんだな、だから、ボッチになるんだよ。」
意味が分からない。
「いいか、とりあえずここであったことは誰にも言うなよ」
「わかった」
言わないよ、と言うか言う相手も居ないし、この話を話せる国語力が俺にはないよ。
そして、急いで帰った。
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