第46話 森こそ最高の狩り場
他プレイヤー視点
「なんだよあの矢、流星じゃねえか!」
「遠距離射撃の追加ダメージがやばすぎるね」
2人はティティル戦線に協力しているプレイヤーであり、ティティルの矢を見てすぐさま森に身を隠していた
「戦線の情報だと多分山岳地帯にいるらしいよ」
「こっちに来なければいいが、ったくエリアボスかよ」
「実質このイベントのボスみたいなものだしね~」
「勝てる設計してないバグボスだな、ったく」
2人は木々が密集している森の中心で周りを警戒しながら隠れている
「これからどうするの?」
「さあな、ティティルを誰かが倒すのを待つか、ティティルの次に生き残ったやつって名誉だけでも得るか」
「それもいいかもね」
2人は半ば諦めかけていた、自分達だけでティティルを倒すのは無理だろうし、そもそも近づくことすら難しいだろうと
二人は剣士と槍使いであるため、アサシンのような気配を消すようなスキルも持っていない、ティティルに不意打ちするのは相当難しいだろう
2人もイベントに備えてティティルの配信を見てその力を目にしたため、もしかしたらなんて考えていない
「………………警戒はしてるけど、だんだん暇になってきたね」
「そうだな、近くのプレイヤーのところに行くか?この森に結構集まってたよな」
「身を隠せる南西部のビル群と東部の廃村、それ以上に北西部の森林地帯は多いらしいよ、罠を設置してる人もいるとか」
「まあ見晴らしのいい場所に行こうとは誰も思わないだろうな」
「僕たちも何かする?」
「やめとけ、知識もないのに罠作成しようとしても動きが気づかれるだろ」
「じゃあここで時間が過ぎるのを待ちますか」
「あぁ」
そんな話をし続ける
少し経った頃
「そういえば、あの流星やんだか?」
「やんだねぇ」
「移動したのか?」
「っ………」
「こっちに来なければいいんだがな」
「………」
「少し警戒したほうがいいかもな」
「………」
「ん?おい、聞いてるのか?」
一人がもう一人のプレイヤーのほうに振り向くと
「っ!?なっ」
「………………」
喉に矢が刺さり、何も言えない状況で手を伸ばしながら、ポリゴンになって消えていくプレイヤーを見ることになる
「っ、馬鹿な、ここは森林地帯だぞ、遠距離射撃は無理n」
そういいながら周りを見回すために立ち上がったのがいけなかった
立ち上がった瞬間的となり、喉の真ん中に矢が突き刺さる
「がっ、んえ?」
「(ど、どく?)」
遠射の強力ダメージはなかったが、その代わりに矢には毒が付与されていた
プレイヤーは自前のアイテムで毒消しできるものはないか探したが、時間は待ってくれず、最後にツルギに報告しようと決意するタイミングも遅かった
そこには誰かがいた痕跡しか残っていなかった
♦♦♦
「よし、2人やったよ」
『やばいなこれ』
『アサシン?』
『プレイヤー狩りのハンターだよ』
『相手何もできずにやられたけど、これはしゃあないよね』
ティティルは現在、木の枝にいた
先ほどの二人への攻撃は、木々を飛びながら移動し、気づかれずに暗殺していた
木々の隙間から狙い撃つことは、エルフでは大人になれば誰でも習う必須技能
特に今回も森は運営が作成した人口の地形とあって、木々の間隔が均等で狙いやすかった
木々の移動は弓を使う前の子供でもできる、気配の消し方は安全のため最初に習う
つまり、この森はティティルにとって独壇場
「ほかも見てみた感じ、地面には罠があるけど木の上にはないみたい」
木々を悠々と移動するティティルに障害物はなく、上を移動していることを誰も気づかない
「それにしても、エリア用アイテムがあるなんて思わなかったよ」
『本当にサプライズだったね』
『毒を手に入れた瞬間終わったわ』
『遠射警戒に全振りが多いから、状態異常にうまく対処できてないみたい』
『鬼に金棒レベル』
【蟲毒壺】、このエリアのみで使用でき、イベント後は消滅するアイテムの一つ
回数無制限で、自身の武器に毒を付与し、その武器でダメージを受けた相手に猛毒状態を付与する
元の世界でも毒矢を使用したことがあるティティルはこのアイテムで中近距離の相手に無双する
そして中近距離になった分細かく狙いを定めることができるから、ティティルは喉を狙う
スキル発動の際、スキル名を口頭で一定の音量でいわなければならない
ならば状態異常回復のスキルと使わせないために、喉を狙う
効率的ではあるのだが、まあ視聴者から少しドン引きされている
『にしても、かわいさ以上にえげつなさがやばい』
『リアル狩人だから、慈悲はない!』
『リアル狩人って言えばいい風潮になってない?w』
『でも結果がガチだから』
最初の可愛いキャラはどこへやら、生々しく容赦ない命を扱う狩人の姿に、引かれつつも惹かれる存在になってきている
「とりあえず森のえもn、プレイヤーさんたちから仕留めていきます!」
『今獲物って言おうとしたよねティティルちゃん!?』
ティティルが移動すると、そこには森に囲まれた広場に建設した簡易的な砦があった
近くの木材やアイテム、盾にできるようなもので周りを囲い、砦の物見櫓で2人が周囲を警戒していた
「へ~~、こんな短時間であんな立派な砦が」
『そういうエリアアイテムでもあったのかな』
『よくよく見るといろいろアイテムっぽいのが壁に貼ってあるね』
『あれって耐性付与のアクセサリ?』
『砦にも効くのか?』
『そういう砦を作るアイテムなんだろ』
おそらく運営が設計した砦をそのまま建設するようなもの、そこまで大きくはないが砦としての役割はしっかり果たせるもの
「この距離からじゃ近すぎるからごり押しできないし、すこし専門外だけど、毒があるからやっちゃおうかな」
レベルを上げた【気配遮断】と【スナイプステップ】を使用して物見櫓に向かう
物見櫓は一つだけであり、そこに2人のプレイヤーがそれぞれの方向を警戒している
ティティルは、バレない様に2人の背中の間に入り込む
片手には端切れ布、もう片方には毒の付いた矢が2本
「っ!っがっ、んんん、んぐっ!」
片方のプレイヤーの口元に布を抑えて喋れないようにし、矢の一本をプレイヤーの喉に突き刺す
この時ティティルは知らなかったが、毒の中には麻痺毒も含まれており、喉は通らず、指も動かない状況になるため、この状況のティティルには鬼に金棒状態だった
「ふぁ~~、そっちh、んぐっ、ん~~~~~~~!!んぐっ」
もう片方のプレイヤーが振り返りそうなこのに気づき、ティティルは素早く口をふさぎ、もう一本の矢で喉を、先ほどのプレイヤーより防御力が高そうだったので一応肺にも突き刺しておく
とどめは刺ささない、じわじわと毒でHPを削ったほうが砦内に奇襲を悟らせない
突き刺した矢を抜き取り、ティティルは物見櫓から砦を観察する
「(見張りはこの二人だけっぽい、砦自体は大きくないから、ぎゅうぎゅうに詰めても50人しか入らないかな、光源があるっぽいけどそれがなかったら隙間がないから真っ暗になりそう)」
砦には元々、所々に隙間があったが、ティティルの射撃を警戒して自分たちのアイテムや周りの木で隙間をふさいでいる
ティティルは、物見櫓から砦の屋根に移り、中に何人いるか調査する
「(ん~~、隙間が一つもない、ゲームの中だから空気の流れとか気にしなくてもいいのかな?)」
結果、うまく人数を調べることができなかった
「光源を消して暗殺ってのは慣れてないから難しいし、周りが森だからおびき寄せるかな」
ティティルは作戦を変え、近くの森に移動する
【○○を倒しました。1ポイント獲得】
【○○を倒しました。1ポイント獲得】
先ほどの物見櫓の二人のHPが無くなった
2人が確実に死んだとわかったこのタイミングで作戦開始
「それでさ~~」
まだ2人が死んだことに気づいてないプレイヤーたちは談笑しており、警備はガバガバ
ティティルは光源のランプに向かって矢を放つ
ガシャン!っと音が鳴ると、光が無くなり、プレイヤーたちはいきなりの出来事に驚愕する
「なっ、なんだ!?」
「もしかしてティティルちゃん来た!?」
「しまった、隙間を全部埋めたのが裏目に出た!」
「みんなでツルギさんに報告だ!一人でも確実に情報を伝えるんだ」
プレイヤーたちは驚きつつも冷静に指示を出すリーダーポジションの男からの指示に従い、武器を構える数人を除いてみなツルギに連絡を行う
暗闇の中、もう近くにティティルが近くにいるのに
「もしもし、こt、ぐひゃ!」
「ティティルちゃんが、がぁっ、あぁぁ」
「森林部のとりd、かほっ!」
「奇襲を受けt………………………………………」
連絡を行おうと隙をさらしたものから毒矢を喉に食らってしまう
ティティルは元の世界でも夜に獲物を狩る訓練をしていたから難なく一撃を入れることができる
「くそっ、どこだ!」
しかし、武器を構えて警戒するもの達にはうかつには近づけない
「(一旦ここまでかな)」
ティティルは、先ほどまで出さなかった大きな足音を出し、出口に向かって走り出す
「っ!逃げたぞ!」
「ここで倒す!」
「1ダメージでも与えれれば英雄だぞ!」
ティティルが逃げた方向に全員で追いかけるプレイヤーたち
向かう先は森の中
「…………ふふっ」
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