第27話 コラボ配信開始




♦♦♦



「皆さんこんにちは、【たそがれ学園】所属、歴史担当教師V 栗原静江です」


「今回の晩酌配信は他事務所のVtuberさんとコラボさせていただきます、それでは自己紹介お願いします」


「はい、【マーシャルコード】所属、聖騎士長ガガルだ、よろしく頼む」


「本日はよろしくお願いいたします」


「こちらこそよろしく頼む」







『先生と聖騎士長って変な組み合わせw』


『まあ酒つながりでしょ』


『静江さんの飲みっぷりもすごいけどガガルさんのあれはヤバいし』


『今回も酔いどれ静江が見れるのかw』




つつがなく挨拶を終える、酒関連以外繋がりのない二人のコラボには視聴者も困惑もありつつどうなるのか楽しみだったりする



「視聴者の皆さまも、なんでガガルさんとコラボすることに?っと疑問に思われてると思いますが、以前ガガルさんが行ったほろ酔い配信を見て、今回は私のほうから話を持ち掛けたのです」


「ははっ、きれいな女性から酒の場に誘われるのは光栄ですな」


「あらやだ、お上手なんですから」




『あー話題になってたやつ!』


『ずっと酒飲みながら酔いつぶれなかったあのガガルさんか』


『聖騎士長、ここまで来たら酒造業者の案件来るんじゃw』


『ガガルさん初見だけど気のいいおっさんって感じがする』






「まあ序盤のつまらない話は置いておいて、早速開いきますか」


「いいですね~~、最初はどれからします?」


「まあ序盤はビールにしましょう、ガガルさんもビールにしますか?」


「自分はこういった酒の場では相手と同じ酒を飲むようにしてるんです、味について語ったりしたいですし」


「ふふっ、いいですねそれ、ではビール2つ」





画面が切り替わると、画面の端に二人のアバターが移動し、真ん中には上から向かい合う二人の間にあるテーブルが映し出され、その中には肘まで伸びる手袋のようなものをつけた二人の手と、実際の居酒屋にあるようなタッチパネルが映しだされる




「視聴者の皆さんに説明しますと、このタッチパネルで食堂にいる調理メンバーに注文することができるんです、お酒は成人の事務員や教師が持ってきますが、おつまみは互いの所属Vtuberの皆さんに作っていただきます、こちらからは料理部の皆さんも全力で作ってくれると言っていましたので楽しみです」



「こちらもディシア殿が楽しみにしてろと言ってましたね」



『リアル居酒屋w』


『ビール準備!』


『俺もたくさん用意してきました』


『コーラで参戦!』


『ほかVの手料理!』


『いいな~~、料理部のおつまみ食いて~~~~』


『俺見習い騎士でたそがれ学園初見、料理部とはなんぞや?』


『ようこそたそがれ学園へ』




「そうですね、ではビールが来る前に、ガガルさんの見習い騎士さんたちでたそがれ学園が初見の方にたそがれ学園の箱の説明させていただきますね」


「よろしく頼む」







「生徒も教師もどこかの部活に所属するのです、運動部と文化部、実際に学校であった部活などがあります」


「部活のくくりで配信を行ったり、実際に部活動を行ったりとリアルの学校のようなことを行ったり、部活内での先輩後輩などの関係ができたりします、まあ帰宅部もありますが」



「そして普通は○○期生といった表現をしますが、たそがれ学園は実際の学校の様に数字が上がっていくスタイルです」


「現在最古参のVtuberは4年生です、教師の場合は勤務歴〇〇年といった感じです」



「そして料理部に関してですが、もともと料理が好きなメンバーが所属してまして、配信でいろんな料理に挑戦したり、実際の料理人をゲストに呼んだりと幅広く活動する人たちです」



「前に料理をいただいたのですがとてもおいしくて、あ~お腹すいてきました」






「それは楽しみですね、なら何かおつまみを頼んでおきますか」


「そうですね」


二人でタッチパネルを操作していろいろ注文する





『料理部そんなにすごいの?』


『ガチ料理人ほどではないけど普通に旨そうだよ』


『前に来てた料理人の人もk本がしっかりしてるって言われてたし』


『Vtuberだよな?(困惑)』


『大丈夫、最初にみんなそう思う』


『聖騎士長いいな~~』


『おれにもくれ~~~~~!!!』




コメントも盛り上がり始め、二人の雑談が進み、少ししてから店員に扮した一人が酒とおつまみを持ってくる



「お待たせしました、ビール2つと焼き鳥の盛り合わせと枝豆でございます」



「お~~~、来ました!」


「待てたわ、って裕也くんじゃない!」


「ん?あ~~先ほどご挨拶した」



『やっと来た』


『ビールぬるくなる前でよかった』


『あれ?裕也じゃん!』


『え?誰?』


『きゃーーーー裕也様!!』






「どうもガガルさん、そして初めましての視聴者の皆さま、たそがれ学園所属、4年生、料理部部長の坂巻裕也です、視聴者の皆さんは画面上ではありますが、我々が作る料理をお楽しみください」



「おぉ、本日はよろしく頼む」


「いえいえ、ガガル様は本日はお客様、リラックスしてお食事をお楽しみください」


「そ、そうする」




『聖騎士長地味に緊張してない?』


『雰囲気が居酒屋から高級レストランみたいになったな』


『たそがれ学園初見勢だけどこの人声いい』


『たそがれ学園一のイケメンだしな』





料理を届けてくれた坂巻裕也の登場でコメントは少し盛り上がる



「それにしても、料理を持ってくるのは事務員さんじゃなかったの?」



「それなんですが、できれば自分の料理を出す際は少しだけでも料理部をマーシャルコードの視聴者さんに宣伝させてもらえないかと思って、あと外部の方から料理の感想を聞きたいですし」


「なるほどね、ガガルさんはどう思います?」


「私は構わないぞ?」


「ありがとうございます、ではごゆっくり」



礼をした後、裕也は下がっていく



「さて、酒とおつまみも来ましたし、乾杯しますか!」


「視聴者の皆さんもお酒の準備できていますか?」



『できてまーす』


『いそいで焼き鳥買ってきた!』


『コーラとポテチセット』





「では皆さんご一緒に」


「うむ」



「「乾杯」」


『かんぱーーーーーい!!』


『乾杯!!』


『あ~~ビールうめぇ』


『かんぱーーい』




二人はジョッキに注がれたビールを一気に喉に流し込む



ごきゅっごきゅっごきゅっという喉の音がASMRのようにきれいに聞こえる



「ぷは~~~」


「あ~~おいしい」




『うん、いい音』


『めっちゃおいしそうに飲んでるw』


『追加で買ってこよ』


『焼き鳥か~~コメントのお前らは塩派?タレ派?』


『塩一択』


『タレだろ普通』


『あ?』


『お?』


『塩のほうが焼き鳥本来の味が味わえるぞ』


『甘く味が濃いからビールに合って最高だぞ!』


『おいおい、山椒派を忘れてもらっちゃ困るぜ』


『黙ってろ、ここは塩とタレの戦争だ!』


『部外者は黙ってろ!』


『ふぇ~~~~!?』




「塩かタレかそうですね、私はタレ派ですが、ガガルさんはどうですか?」


「う~~~む、自分は基本どっちかに偏るってことはないですな、どちらも食べたことはありますが両方美味しいですし、ていうかこの焼き鳥うまっ!」



コメント欄で塩タレ論争が巻き起こる中、ガガルは前に食べた市販の焼き鳥よりもおいしい焼き鳥に驚いていた


「ごきゅっごきゅっぷは~~~、ビールによく合う!最高!」


「さすが裕也くんね、ごきゅっごきゅっあ~~いい!」




『めっちゃ旨そう!』


『さすが裕也』


『裕也ってフレンチとか洋食?のイメージがあったけど居酒屋のメニューもいけるのか』


『きゃーーーー、裕也様ーーー!!!』


『枝豆も自分のいつも食べてるのとなんか違う?』


『あ~~~、寝る前に配信見るんじゃなかった、おなかすいた~~~~!!』




「さて、飲み食いだけでなく何か雑談したほうがいいですかね、静江殿」


「あら、酒とビールがおいしくてつい、おほほ、では私から話を振らせていただきますが、ガガルさんは1カ月前からVtuberになりましたが、調子はいかがですか?」


「調子ですか?まあぼちぼちと言いますか、ですがまあ、ディシア殿と比べるとそこまで伸びていないのが懸念点ですな」


「ディシアさんち比べてですか?」


「私、いやもういいか、俺はマーシャルコードの二人目のVtuberになって、事前にディシア殿のチャンネルを世シュしてたのですが、自分はそれほど登録者が増えるわけでもなく、運よくほろ酔い配信がすこしばずった?ので、自分の実力じゃないことがなんていうか、後ろめたいわけではないですがその………」



「ガガルさんは謙虚なんですね、ですが今こそ実力を見せつけるチャンスだと思いますよ」


「え?」


「こういった意図しないバズリはチャンスタイムなんです、いつも以上の視聴者に見てもらえてるタイミングで、これが俺の実力だと天狗になるか、自己分析をしっかりしてチャンスを生かしきるか、ガガルさんは後者だと私は思いますわ」


「静江殿………」


「あらいけない、すこし説教のようになってしまいましたね、いけないいけない」


「いえ、すごく参考になりました、感謝します」


「ふふ、ならよかった、まあ今日は不安なことは置いておいて楽しみましょ、お酒とおつまみ注文しますね」


「承知した」





そこから楽しく雑談を行い、酒とおつまみを流し込み



3時間ほどが経った







「うわ~~~~~~ん、だからあのセクハラ教頭めーー!!!(ぴーー)(ぴーー)」


「静江殿!?静江殿!?それはいけない!生放送ですよ!!」


「うっしぇ~~、ブラック学校ほりょべ~~~ひゃははは」


「静江殿ーーーーーーー!!気をしっかり!」




『始まった!』


『酔っぱらい静江さんきたーーーーー!!!』


『今回は遅かったな、外部コラボだから少し遠慮したのかな?』


『静江さん初見だけどこれが普通なん?』


『普通に1時間でこのぐらいになる』


『うそ~~ん』




2時間前から豹変した姿に初見の視聴者は困惑しだす


高校教師時代からストレスには酒で解決してきたため、いつものきれいな静江さんの仮面が剝がれてしまう



「きいてくらさいよががるしゃん!教頭のはげ、じろじろむねとかおしりとか見てきて、お局もいちいちいちいちうるしゃいですし」


「おっ、おぉ、そうですか」


「でもたしょがれ学園だと毎日楽しいんです、みんなよくしてくれますし、視聴者さんも優しいですし、いまはしあわせなんでしゅよ、う~~~~」



「………………そうですか、それはよかったですね」



「あ~~、まだのみたりにゃい!次は紹興酒じゃーーーー!!」


「じゃあ自分も、おつまみいりますか?」


「いりゅ~~、バンバンジー食べたい」


「バンバンジーっと」







こうして配信は静江さんが寝落ちするまで続く







♦♦♦






数日後



「社長、ガガルさんに酒造業者から案件の連絡が来てる!」


「マジか!!」




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