第2話
義妹の心は癒えない。
帰ってからは、母親と少し話をして、ご飯をゆっくり無理矢理食べるように口に入れる。
そして、自分の部屋に入り義兄を呼び続ける。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん」
義妹は体が震え出す。
「怖かった、怖かったよ。家内くん、完全に私をそう言う目で見てた。」
お兄ちゃんが居れば私は強気になれるのに。でもそれがお兄ちゃんを傷つけ、その癖がお兄ちゃんを殺してしまった。
「お兄ちゃん、あれは私への罰なの、戒めなの?でも嫌だよ。私はお兄ちゃん以外を愛せない、愛したくないよ。」
お兄ちゃんが亡くなったタイミングを狙ってくるなんて尚更嫌だ。絶対嫌だ。
「お兄ちゃん、会いたいよ。会いたいよ。寂しいよ。辛いよ、悲しいよ。」
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魂視点
俺はいつまで、義妹の悲しむ顔を見続ければいいのだろうか?
永遠になんてことはないことを祈りたい。
俺も会えたら、今度こそ、家内に一発怒ってお兄ちゃんらしく出来たら、
だが、それは叶うことはない。
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母視点
私は悔いばかり出てくる。
もっと義娘怒れば良かった。もっと息子を大切にすれば良かった。
義妹が息子への思いはずっと知っていた。部屋に入るとすぐにわかることだ。
でも、その気持ちを肯定すればいいのか、否定すればいいのか分からなかった。
もし、息子がその気持ちを拒んでしまったらどうしよう。
もし、義娘の気持ちに気付いて拒んで、取り返しの付かない傷がついてしまったらどうしよう。私は常に不安に駆られ、息子の味方を全くしてなかったことに息子が死んでから気付いた。
本当に、本当に駄目な母親だわ。
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