第132話 Sister's Strategy Plan(姉妹の作戦計画) 11
リュージン邸ドアの前……。
ノックをした後しばらくすると、ウェンドが応じた。
「あら、ライラ。レイラも一緒ね。寒かったでしょう、さぁ入って。今、ちょうどお茶にしようとしてたのよ。いいタイミングね、クッキーもあるわ。さ、どうぞ入って入って。」
リビングには香ばしいクッキーの匂い。ほんのりバターの香りも漂っている。
ライラが見かけた絵はリビングの壁に飾られていた。
姉妹がテーブルにつくと、早速ライラが口を開いた。
「リュージンさん。壁に飾ってある絵はどこの場所ですか?」
レイラも続いて聞いた。
「どこかの教会のよう。古い絵なんですか?」
リュージンはカップをソーサーに置くと答えた。
「あの教会の絵かね?あれは私が町長時代に建築した教会でね。セント・ユリトール・チャーチ(聖ユリトール教会)というんだ。場所はダットロームの町なんだが、フリップグロスからも寄付が集まってね。私達が完成式典に招かれたのさ。その時に手土産として、記念に飾ってくれと受け取った。」
「と、いうことはダットロームの町には教会が残っているんですね?」
「当然今も残っているさ。」
姉妹は顔を見合わせてリンクした。
「ライラ、どうするの?」
「私、転移術式を試してみたい。」
「じゃあ手を繋いで試しましょう。2人で同じ場所にいってみましょうか。」
ライラはリュージン夫妻に言った。
「私達が身に付けた術式をここで使わせてください。」
「少しダットロームの教会を見に行ってきます。」
「見に行ってきますって、あなた達、ダットロームまではパイルグロスを経由して向かっても6日は掛かるわよ。」
「大丈夫です、ウェンドさん。……あ、お茶とクッキーは戻ったら頂きますね。」
「驚かないでください。すぐ戻ります。」
姉妹は立ち上がり、絵の前で手を繋いで立った。
イメージが始まると、姉妹の髪色が変わり、姿が消えた。
紅茶を注ぐウェンドが驚きのあまり、カップから溢れる紅茶に気が付かない。
リュージンも同様で、食べかけたクッキーを口から落とし、夫妻は開いた口が塞がらなかった。
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