第52話 Pieces Of Memory(記憶のカケラ) 2
その日の晩。姉妹はベッドで話し始めた。
「ねぇロー。私達って、この町に住んでいたのかしら?岩山で光の中で見たのはどう考えてもバリスタン山だった。」
「確かにバリスタン山の岩山の所だったわ。でもサンドラさんや町の人は私達を知らないんでしょ?どこか別の町に住んでるとか?……。」
「フリップグロスの町以外の所に住んでいたって事?それなら今までの間に、私達の両親が探しに来るんじゃないかしら?」
「それは考えられる。でもここから1番近い町でもかなり遠いらしいじゃない。それともその町に出掛けてみる?」
「ローの考えも一理あるわね。明日出掛けてみる?」
「サンドラさん、心配するでしょうから、まずは相談してからって事でどう?」
「じゃあそうしましょ。サンドラさんに詳しく聞いてみなきゃね。」
そして翌朝のリビング。
「私もね、色々考えたんだよ。2人が心配ならこのフリップグロスに両親が訪れてもおかしくないだろ?それから、何故2人共バリスタンの岩山にいたのかねぇ。」
「確かに……。」
「確かに疑問はありますが……。」
「パイルグロスは、隣町とは言え馬で3日かかる。途中野宿になるがそれでも行ってみるかい?」
「はい、行きたいです。行って確かめなければと思います。」
「そうかい。それでアマも同じ考えなのかい?」
「もちろんです、サンドラさん。」
「それなら私は何も言いますまいよ。もし両親に会えたら、またここへ戻ってきておくれ。」
少し寂しげな表情を浮かべたサンドラ。姉妹はサンドラを挟む様にハグすると、声を揃えて言った。
「もちろんよ、サンドラさん。」
サンドラは姉妹の肩を抱きながら、「そうと決まれば早いとこ出掛ける支度!準備出来たら町へ下りるからね。町長さんに馬を借りなきゃ。」
「はい。」姉妹は声を揃えて返事すると部屋に荷物を取りに行く。サンドラはキッチンに入っていった。
姉妹がリビングに戻るとサンドラもキッチンから出てきた。
「はい、2人のそのバッグに入るように細かく包んだよ。途中でお食べ。」
2人は包みを受け取った。ローはそっと中身を確認している。
「あー、ラビンの干し肉ね。サンドラさん、ありがとう。」
「ほらほらロー。それは途中で食べるんだよ。今はそのまましまいなさいな。」
「そうよロー。せっかくの楽しみがなくなっちゃったじゃない、食いしん坊ねー。」
姉妹はサンドラを挟んで3人並んで町へ向かった。
町の方角からの午前中の陽差しを浴びながら、3人は語らいながら歩いていった。
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