第1話 プロローグ1
早朝、フィリップグロスの町。サンドラ邸。
「2人共、こんな朝食だけど召し上がれ。」
「ありがとうございます。」
2人の少女は声を揃えて言うと、スープに手を伸ばした。
「温かくて美味しいわ、サンドラさん。」
「パンはこうやって、スープに付けて食べるのよ。」
「うぅん、美味しい。」
しばらくの朝食の時が続いた。
「あなた達、この先行くところはないでしょう?こんなボロ屋敷で良ければ、しばらくここで過ごして良いのよ。」
2人は寂しそうに見つめ合った。そして心で会話している。
「どう?悪い人ではなさそうだし、少しお世話になる?」
「うん、それは賛成だけど、私達がここにいる間、何かしなければって思うの。」
「そうね。お手伝い……何か仕事を探す?」
「遠慮しなくていいわよ。ここフィリップグロスは小さな町だから宿は無いのよ。」
「あの、サンドラさん。私達に何か出来る事は無いですか?何かお手伝いでも……。」
「ここは大丈夫、心配ないわ。……そうね、町長さんに相談してみるわ。あなた達は腰に下げている短剣で猟が出来るのかしら。」
「短剣……これで何をしていたのか記憶に有りません。思い出したら使える様になるかも知れませんが、今は……。」
「そうよね。何か思い出すまで、町を散策したり、森に行ってみるのもいいわ。ちょっと待ってね、ランチを作って持たせてあげる。出来たら呼んであげるから、それまでここの周りを散歩していて構わないわ。」
姉妹はサンドラ邸の周囲を散歩する事にした。
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