第4話 百合仮面の正体
少女は空いた手で仮面を取る。肌が白く、透き通った黒い髪をした、大きな瞳の清廉な少女だった。
「白百合の御伽噺はご存じでしょうか?」
紫苑は淡々と語る。
「百合は死と密接だ。ゆえに冠婚葬祭で用いられる。それに、こんな話もある。墓地に飾る白百合の場合、死者からの生者への挨拶であり、無実の罪で死んだ人の復讐を告げるものだと」
紫苑は今までに重なった様々なことを総合して、ある仮説に至った。
「あなたは、復讐の代行者ですね……」
紫苑の言葉に少女は眉をピクリと動かした。
「被害者のために復讐の代行者が加害者を殺した。さしずめ、君はこの子の友達といったところか?」
「ええ……」
少女は言う。
「幼なじみで、親友よ」
*
●●●●とは友達だった。幼なじみということもあり、よく遊んでいた。
あたしは私立の中学校に通うことになったので、●●●●とは別々になった。
あたしは知らなかった。●●●●が三人から陰湿ないじめを受けていることに。久しぶりに会った時はあまりにも楽しそうに学校生活のことを話すから、あたしは気づかなかった。
●●●●の演技に。
それから間もなくして、●●●●は自殺した。
あたしはなぜ、●●●●が死んだのか、知りたかった。そして、●●●●の葬式の場で聞いてしまったの。
「あの子いなくなったらつまんない」
「次誰いじめる?」
「あいつがいいんじゃない? ●●●●と同じ陰キャだし」
三人の会話が聞こえた時、あたしは復讐を決意した。
●●●●をいじめていた三人が行方不明になった時、みんな三人を案じた。
許せなかった。誰も●●●●を悼まず、三人を案じていたから。
だからあたしは、●●●●と同じように、三人を……。
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