決戦兵器な少女たちとの不純で歪な〈行為〉の記録
舞原
第一章・契約の末、僕は生徒と恋をする――「……冗談じゃねえ」
【1】缶コーヒーの甘い味
舌で唇を拭うと、缶コーヒーの甘い味がした。
「ねえ、せんせ」
彼はいつもとても甘いコーヒーを飲む。
「私が戦うの嬉しい?」
ああ、なんて馬鹿なことを訊いているのだろう。
私は口に出した瞬間に後悔した。
彼なら、きっと欲しい言葉を返してくれる。
そして私のことを想って抱きしめてくれる。
幾重もの邪念が波となって私を襲う。
戦場で死ぬ覚悟と死への恐怖が、私の中でともに生きている。
その寄り添う二つの思いに腐っていく心を癒すものが欲しかったのだ。
そうして、言葉を選ぶかすかな沈黙の末に彼は口を開いた。
「――…………」
私はその言葉に頬が緩んでしまったし、救われてしまった。
不覚にも、お腹を抱えて息をすることも苦しくなるほど笑ってしまったのだ。
慈しむような優しげな双眸が私のことを見つめる。
彼はじっと何も言わない。
分かってやっているのか、無自覚なのか。
私は自分の制服のネクタイに手をかけてゆっくりとほどき始めた。
こういう勝負は痺れを切らした方が負けなのだが、仕方ない。負けてやろう。
「えっと、じゃあする……?」
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