◆ANIMA✧ARCA◆《アニマ・アルカ》アラサーで無職に転落した俺、女神級の美少女エルフに転生! 限界突破で運命ガチャをRe:Writeしてイクゥッ!!
◆Prologue-α(2024/12 追加エピソード)
◆ANIMA✧ARCA◆《アニマ・アルカ》アラサーで無職に転落した俺、女神級の美少女エルフに転生! 限界突破で運命ガチャをRe:Writeしてイクゥッ!!
鳥宮 悠羽佑
◆Prologue-α(2024/12 追加エピソード)
――空を飛ぶ飛行機を掴んでみたい。遠くにあるビルをデコピンで弾き飛ばしたい。
そう思った事はないだろうか?
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
辺り一面、赤みを帯びた岩場で、大地は乾燥してヒビ割れている。
視界の先まで無限に続くような広大な荒野に、少々ボサついた黒髪の長髪で口髭と顎髭を伸ばした1人の男がいた。目つきは狼のように鋭く光る。
燦々と照る日差しの中、何故か真っ黒なロングコートを身に纏い、人の目を象ったような黄金と紅い宝石の首飾りを胸元に下げている。
男は見晴らしが良い大きな岩の上に立った。
バサッ
上空2千m近い高度に、巨大な黄金竜〈ギルドレイン〉が飛翔していた。
翼幅が約120m、鼻先から尾の先まで約80mはあろうかという超巨大な
男は飛翔するギルドレインを眺めながら右手を伸ばし、人差し指と親指で摘まむような動作をした。首飾りの紅い宝石が紅い光を放ち始め、男の額には、巨大な瞳のような、白く光る縁取りだが、〈黒い墨絵のような紋様〉が浮かび上がった。
ググググググ……
「ギャウッ⁉ グァッアアァァァ……‼」
突然、上空のギルドレインの動きが止まり、全身が震え、苦しそうに悶えた。
ググッ……男がゆっくりと右手を下げていく。不思議と男の指先にも抵抗力がかかる。
ギルドレインは動きを止めながらも不思議と墜落する事がなかったが、まるで見えないエレベーターに乗るように大地に向かって高速で降下していく。
バサバサッ! バサバサバサッ‼
ギルドレインの巨大な翼が強い空気抵抗を受け、ひしゃげる。
ボギンッ!
超巨大なギルドレインの翼の骨の一部が折れた。それ程の抗力を受けたのだ。
竜の翼の構造は蝙蝠の翼に似ている。翼を構成する骨は、長い長い前肢の指の骨だ。
男はそのまま指先を視界の先の大地の上に置くような位置で止めた。
ドガァアァァァンッ‼
ギルドレインは乾燥した大地に叩きつけられ、見えない力で抑え込まれた。
男との距離は約800m。
「推定レベル……■@*▲ってところか……多少は抵抗を見せたか……」
男はボソッと呟き、ニヤリと口角を歪めた。
ギルドレインはその力の発生源が〈男のいる方角〉にあると気付き、ギョロッと蛇のような縦長の瞳で、その方角を睨みつけた。
ググググググ……
ギルドレインは四肢で力強く大地を抑え、潰されないように足掻いている。まるで何十倍もの重力に圧し潰されるような圧力だった。同時に、ギルドレインの肉体から蒼碧色の光の粒子が発生し、徐々に折れた翼の骨が修復され始めた。
「ちょっとぉ~⁉ 可哀想じゃん‼ やめなよぉ~! ヴォルガン‼」
突然、どこからかピエロのような出で立ちの女が現れ、男を制した。
白石灰のように真っ白な肌色に、黒紫色の口紅で、アイラインは長く伸び、植物柄のように渦巻いている。右目の下には涙型、左目の下はハート型のタトゥーを入れている。
特徴的なのは、猛禽類のような大きく鋭い目だ。瞳の中心は黒いが、黒目が白く、白目が黒い、配色が逆転している。造形は美人だが、不気味な女だ。
「何でドラゴンをイジメるんだよぉ~?」
「……ただの暇潰しだ……デルミーラ」
「だから、やめろって‼」
デルミーラと呼ばれた女は、男の指先を叩いた。
「あっ」
ボガァアァンッ‼
ギルドレインは大地にめり込み、クレーターができるほど大地が陥没した。
ヴオォオオォォッ‼ ドーンッ‼
「うわっ⁉」
デルミーラは顔を護るように右手を前に出し、左手で顔を覆い、目を薄めた。
2人の肉体がほのかに光る膜で包まれる。
ピカッ! ヴォッ‼
ギルドレインが圧し潰された場所にできたクレーター付近の大地から閃光が放たれ、ヴォルガンとデルミーラが居る場所に高熱の光の波動が一直線に伸びた。
ヴォーンッ‼ ドッガアァーーンッ‼
周辺の岩々は徐々に高熱で溶け始め、遂には吹き飛んだ。
「良かったぁ~っ! 生きてんじゃんっ‼」
「しかし、お怒りのようだな……」
「あんたが仕掛けたんでしょうがッ⁉」
砂煙の中、そんな会話が繰り広げられた。砂煙が晴れると、ヴォルガンとデルミーラは崩れた岩場の上に浮かび上がっていた。
「ギュアアァアァーーーーーッ‼」
周囲におぞましい咆哮が響き渡り、ギルドレインが上空に舞い上がって、2人を睨みつけ、翼を羽ばたかせた。
「どうすんのよっ⁉」
「狩る」
「可哀想‼」
「……ついさっきまで人間を喰っていたお前に言われたくはない……」
「人は食いもんでしょーがっ‼」
「……ククッ……身勝手な女だ……」
ヴォルガンは右の掌をギルドレインに向け、魔力の波動を放った。
ググッ!
ギルドレインは一瞬、動きが抑え込まれたが、その力から逃れ、2人を目掛けて突進するように飛翔し、一気に迫る。ギルドレインの肉体からは〈魔霊気〉の光の波動が噴出していた。
「ほほぅ……不意打ちでなければ効かぬか⁉」
ヴォルガンは目を見開き、ほくそ笑んだ。
ヴォオアァアァッ‼
ギルドレインが大きく口を開き、超高熱の熱線がヴォルガンとデルミーラに向けて吐き出された。周囲の岩場を溶かし消し飛ばすような威力の〈火属性のドラゴンブレス〉だ。
「マルグラーガ・バリエラ‼」
ガンガンガンガンッ‼
デルミーラが呪文を唱えると、前方に多重層の光のバリアが展開され、ドラゴンブレスを拡散させて防いだ。
だが、バリアの一部に穴を開け、わずかにドラゴンブレスがデルミーラに届きかけた。
「あっ⁉ ぶね‼」
デルミーラは目を見開き、冷や汗を流して焦りの表情を浮かべた。
いつの間にか、デルミーラは圧縮して隠し持っていた巨大な黄金の杖を手にしていた。
彼女は巨大な赤紫色の魔霊石がはめ込まれた『魔晶黄金杖』をギルドレインに向けた。
「もう~っ! ドラゴンさん、ごめんねぇっ⁉ ブリクセム‼」
ズドォーンッ‼
超強烈な雷撃が放たれた。あまりにも目映く、周囲は一瞬、青白い光で包まれた。
バリバリバリッ!
しかし、ギルドレインの強力な魔霊気と、自動的に発動されている防御結界魔法に弾かれ、雷撃は四散した。
「なぬっ⁉ あーしのブリクセムが効かねーとかっ⁉ あり得ないんですけどぉ~っ⁉」
上級電撃魔法『ブリクセム』は雷撃魔法とも呼ばれ、デルミーラが得意とする強力無比な攻撃魔法だ。人間が喰らえば塵も残らないほどの威力で、直撃すれば、聖騎士ですら即死する威力を誇る。
「ククッ……サラマンドラ……!」
ヴォルガンがそう呟くと、彼の周囲に直径3m程の6つの魔法陣が六芒星を描く配置で現れ、そこから〈ヴァーラ・サラマンドラ〉が6体現れた。
ヴァーラ・サラマンドラは、炎の精霊・火蜥蜴を模した人造魔生物だ。真っ黒の溶岩のような皮膚と鱗がヒビ割れ、隙間から火を噴き出している。
「えぇっ⁉ 火を吐く相手にそれ使うのかよッ⁉」
「だからこそだ。火属性に強い相手にどの程度通用するか……試したい‼」
ヴォルガンが指先をクイッと動かすと、サラマンドラ達は上空高く舞い上がり、ギルドレインを無視して一気に上空数kmまで上昇した。
「ちょ、直接ぶつけないのかよぉ~っ⁉」
「……バカめ。このままぶつけても大した威力にはならん。加速には距離が必要だ……」
ギルドレインがドラゴンブレスを繰り返し吐き出すも、デルミーラは何とか多重層防御結界魔法『マルグラーガ・バリエラ』で防いでいた。
ヴォルガンはかろやかに回避し、余裕の表情だ。彼はオーケストラの指揮者のように腕を動かし始めた。
ボボンッ! ボンボンボンボンッ‼
上空では、ヴォルガンの腕の動きに呼応して、上空でサラマンドラが強烈な勢いで後方に炎を噴射させ、衝撃波を発生させるほどの加速を数段階繰り返した。
遠目に見れば、その動きは水槽の中で熱帯魚が泳いでいるかのようにも見えるが、速度は音速を超え始めた。
「……あんなのっ、正確に当てられるわけ……」
デルミーラはヴォルガンを横目に、そう呟いた。
ヴォルガンの額に再び墨絵で描いたような瞳の紋様が浮かび上がる。
ギュインッ、ギュインッ、ギュイィーンッ!
ヴォルガンの視界はサラマンドラの視界そのものと重なり、ギルドレインに狙いを定め、ズームで捕捉した。視界の中で光の波動が揺らぎ、多重の光の円が揺らめきながらギルドレインを囲い込み、ロックオンした。
そして、ヴォルガンが腕を強く
ドドドドドドンッ‼
噴き上がる炎に6体のサラマンドラは包まれ、炎の塊と化し、一気にギルドレインに向かって爆発的な加速で降下し始めた。
その速度は、音速の数倍……いや、おおよそ十倍以上に達していた。
「ギュアアァアァアァアァッ‼」
ギルドレインがヴォルガンに接近し、大きく口を開けた。
刹那――ズドドドドドドッ‼ ドォーーーーーーンッ‼
衝撃で目を薄めていたデルミーラが目を見開く。砂煙が風に流されると、目の前の大地はクレーターとも呼べないほどグチャグチャに陥没して崩れていた。
周囲には、黄金竜ギルドレインの鼻先と尾の先、そして翼の先端だけが飛散していた。
「あのレベルのドラゴンを……一瞬で……」
かつて大陸で〈最強の魔女〉を自負していた自身の攻撃魔法が有効に効かないほどの超ハイレベルなドラゴンを、ヴォルガンは一瞬で跡形もなく消し去ってしまったのだ。
「……いや、それより……全弾命中……かよ……」
デルミーラの額から汗が噴き出す。
「あの速度の攻撃を正確に命中させるなんて……これが……『魔神器:ホルスの眼』の
自身の師とは言え、デルミーラは〈魔人・ヴォルガン〉に恐ろしさを覚えずにはいられなかった。そして、人を喰う分際で〈黄金竜ギルドレイン〉に同情していた。
「……狙われたのが運の尽き……だったね……あれっ⁉」
いつの間にかヴォルガンはその場から消えていた。デルミーラが振り向くと、ヴォルガンは上空から放たれた一筋の青白い光に包まれ、瞬時にその場から消えた。
「あっ、待ってよぉ~っ!」
デルミーラは慌ててヴォルガンが消えた場所に向かった。
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