見てみぬふりはサセナイヨ
第5話-1 二重瞼
人の気持ちが解るようになれ。子どもでいた時間でも、大人になった後の時間でも、私たちは何度も聞かされる。
やってはいけない。言ってはいけない。見てはいけない。見せてはいけない。
ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメ。
ぜーんぶ、ダメ。
なんでダメなの?
その答えはいつだって決まってる。
「被害者の気持ちを考えてみろ」
された方は嫌だろう? 自分がもしされたらどう思うか考えてみろ。相手の気持ちを考えてみろ。
悪いことをした後のお説教も大抵そんなものだ。
何でやったの。反省しなさい。三つ目にはいつもそれ。
その意味は相手の立場になれ、じゃなくて他人の気持ちを考えられる人になれ、でもなくて本当は根本的なことにあると私は思う。好きだとか嫌いだとか、それともっと細かい繊細な感覚。そういうのを感じられる「人の心」を持て。そういうことじゃないのかな。
常識的なこと。それは常識だと、当たり前のことだと思う心がなかったら当たり前じゃなくなる。
自分がこうされると嫌だ。嫌だと思う心がなかったらそれ以前の話でしょ?
いろんなことを思う、感じる心。それを育てないとできるのはただの人形。物だよ。ロボットだよ。
人の心を持たないとね。もっと世界を色鮮やかに見なきゃ。
悪いことをしてごめんなさいができないなんて、ほんと最悪だよ。
人にならなきゃ。
私たちは人間なんだよ。
子どもとか大人とか、それ以前に一人の人間なの。心を持たなきゃ。心を育てなきゃ。
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