第55話 お風呂上がり シズ視点

 夕飯も食べ終わり、アオイがお風呂に入ったのでゲームを起動した。


 セールで購入したロボットアニメのクロスオーバーゲーム。正直、アオイが喜ぶかと思って買ったけど、自分で結構やってしまっている。


「おぉ……ここでこの作品が仲間になるのか……」


 やっぱり戦闘演出すごいな。もっと早く買えばよかったな。



 そう思った直後。



 急に部屋が真っ暗になった。


「ん? 停電?」


「シズ!!! お風呂が……!?」


 タオル一枚のアオイが飛び出して来る。


「ちょっ!? 何やってんの!?」


 思わず顔を背けるが、アオイはそんなことお構いなしにグイグイ腕を引っ張っる。


「水! お湯が急に水に……!?」


「あ〜停電のせいか……」


「うぅうううう……寒いいいいい」


「うわ!?、だ、抱きつくなよ!?」


「こ、こんな時に限ってパジャマ出すの忘れたんだもん……」


「タイミング悪すぎだなぁ」


 タオル一枚のアオイが抱きついてくる。薄い布ごしではっきり感触が伝わり、顔が一気に熱くなる。


「さささむむむいいい」


 ブルブルと震えるアオイ。どうやら頭を洗っている時にお湯が水になってしまったらしい。髪がびしょびしょでかわいそうなくらいだ。


「ちょっと待ってて」


 僕のバスタオルを出してアオイの肩にかけ、アオイのパジャマを取り出した。


「か。髪がビショビショすぎて……」


 まるまってしゃがみ込むアオイ。その髪をバスタオルで念入りに拭いていく。ターバンみたいに頭に巻いて、空気を含ませるようにワシワシ拭く。


「ありがとシズ……」


「いいよ」


 しばらく拭いていると、濡れた髪はある程度マシになった。


「こ。これでパジャマ着れるぅぅ……」


 アオイが着替えるのを顔を背けて待つ。


「なんで着替えたのにくっついてくるの?」


「だって寒いしぃ……」


 ふと嫌な予感がしたので風呂場の給湯器を確かめる。ボタンを押すが、画面に文字が表示されない。


「うわ……故障してる……明日管理会社に電話しないと」


 嘘だろ……僕の家までお風呂入りに行くには遠すぎるし、近くの銭湯に通う感じになるかなぁ。


「う〜」


 パジャマ姿のアオイがヒシっと抱きついてくる。


「さ、寒いから抱っこしてぇ……」


「えぇ?」


「ついでに今日も一緒に寝よぉ……」


「えぇ!?」


「昨日みたいにギュってしてね♡」


 アオイは急に元気になった。

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